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芝浦工大、産技大、都産技研による研究会、オリンピックでの実証を目指し、“おもてなしロボット”のネットワーク連携実験に成功

芝浦工業大学(東京都江東区/学長 村上雅人)と産業技術大学院大学(東京都品川区/学長 石島辰太郎)、首都大学東京(東京都八王子市/学長 上野淳)らによる「ベイエリアおもてなしロボット研究会」(※1)は、現在開発中のおもてなしロボット『コンシェルジュ』とサイネージロボット(※2)をスマートフォンやICカードと連携させ、人が複数のロボットへ接触することによって、その間の行動履歴を取得できる実験システムを開発しました。

今回の実験では、3地点のブースを使ったアンケート形式でのスタンプラリーを通して、アンケート集計だけでなく巡回ルートや移動時間といった間接情報の収集を行うことができました。さらに機能強化を行うことで、過去や現在の情報を元に、利用する先々で個人にマッチしたサービスを提供することが可能となります。
今後はネットワーク化を強化しつつ技術開発を行い、2016年に10数台を商業施設で、2020年には東京オリンピック・パラリンピックの会場周辺で100台規模の実証実験を目指します。

おもてなしロボット「コンシェルジュ」1
https://www.atpress.ne.jp/releases/88027/img_88027_1.jpg
おもてなしロボット「コンシェルジュ」2
https://www.atpress.ne.jp/releases/88027/img_88027_2.jpg


■おもてなしロボットの将来の活躍
・オリンピック・パラリンピック会場や商業施設等で来場者対応をしつつ、混雑具合や人の移動パターンを記録し、導線設計に活かす。顔認証を応用することで、迷子対応も可能。

・観光ガイドとして、旅行者が希望する言語で回答・道案内等をしつつ、利用者の国籍や性別、年齢層の把握をする。スマートフォン等を元に個人を認識し、データを元に嗜好に応じたサービスの提供が可能。


■ロボットを使うメリット
<利用者>
1.ロボットとのコミュニケーションを楽しみながら情報が得られる(多言語化も可能)
2.以前行ったやりとりがロボット間で引き継がれ、行く先々でコンシェルジュ対応が受けられる

<設置者>
1.ネットワークで繋がっているため、利用状況や混雑具合など情報をリアルタイムにチェックできる
2.利用者の行動履歴やパーソナルデータを蓄積し、マーケティングに繋がるビッグデータ収集ができる


■おもてなしロボット「コンシェルジュ」
今回の実証では、スマートフォンやICカードで個人を識別。
移動・追尾、音声認識、顔検出、写真撮影などの機能を搭載し、道案内や受付・写真撮影サービスなどができるようにRTミドルウエア(※3)で構成されたロボット。
スタンプラリーでのアンケート集計のほか、現在「写真撮って」と人が声をかけると“コンシェルジュ”が反応し、撮影人数を確認後、適切な撮影距離まで自律移動して「はいチーズ」のかけ声で写真を撮影、数秒後にプリントして渡すことができます。


■実験の概要
〜スマホと連携、実用に近い環境での動作確認に成功〜

2015年2月に複数のロボットからアンケート調査ができるシステムを開発し、東京都立産業技術研究センターで発表しました。今回、同年12月に開催された「2015国際ロボット展」において、展示会場内のさまざまな電波が飛び交う不安定な通信状況の実環境に近い条件で実証実験を行いました。

実験で使用したロボットは、研究会の各機関が独自に開発したものですが、共通の開発プラットフォーム(RTミドルウエア)を使用したため、今回の連携に成功したものです。将来的には、ソフトウエアを高度化することでさらに多くの間接情報取得や、センサーモジュールを増やし別の機能を付加するといった拡張性を持たせることができます。

「国際ロボット展2015」で行ったスタンプラリーでは、スマートフォンのアプリを使うことでアンケートに答えるとバーチャルスタンプが押され、3カ所のブースをどのルートで回ったか、どれ位の時間をかけたかなどの情報が外部のサーバーに送られ集計されるというデモシステムを、ロボット間の連携によって初めて実現しました。これらの結果はRSi(※4)の共通プロトコルRSNP(※5)により、インターネット経由でどこからでも確認できるようになっています。

今後は、複数のロボットからより詳細なデータを取得し分析ができるように研究開発を進め、人工知能も活用した総合案内サービスの実現を目指します。また、オリンピック・パラリンピックをターゲットに多数のアプリケーションの開発を進めていきます。


■参考資料
※1 「ベイエリアおもてなしロボット研究会」

概要:東京ベイエリア地区に拠点を持つ機関の研究会。地域の課題解決を目標にし、互いに連携を取りながら、オリンピック・パラリンピックも視野に入れ、ロボットの研究開発および新規市場の創出に向けて取り組んでいる。
参加メンバー:
・芝浦工業大学(機械機能工学科 松日楽信人 教授)
・産業技術大学院大学(産業技術研究科 成田雅彦 教授)
・首都大学東京
・東京都立産業技術研究センター(都産技研)
・産業技術総合研究所
・東京海洋大学
協力:ロボットサービスイニシアチブ(RSi)
今回の実証は芝浦工大、産技大、都産技研、RSiで実施したもの。

※2 サイネージロボット
ディスプレイやタブレットの顔を持つロボット。等身大のスタンドに搭載して公共の場にも設置できる。ソフトウエアで人などの顔を模した表情を持ち音声発話をする。また、顔のパターンは用途に応じて入れ替えられる。アンケート、案内、リアルタイムの会話やモニターなどのサービスを行うことができ、移動型のロボットに比べて低価格で提供できることも大きい特徴である。

サイネージロボット
https://www.atpress.ne.jp/releases/88027/img_88027_3.jpg

※3 RTミドルウエア
ロボット用ミドルウエア。ソフトウエアコンポーネントのインタフェースが規格化され、制御用ソフトウエアコンポーネントの再利用などによりロボットのシステム化が容易に実現できる。

※4 ロボットサービスイニシアチブ(RSi)
RSi( http://www.robotservices.org )は、ロボットによる通信ネットワークを活用した魅力あるサービス(ロボットサービス)を簡単かつ便利に利用できる社会を目指し、相互運用性のあるロボットサービスについて関連団体と協力・連携しながら仕様の作成・公開、実証実験、普及促進を行うことを目的に設立された団体である。

※5 RSNP
通信規格。サービスロボット開発用に公開されており、このパッケージを使って簡単にロボットのネットワーク化を実施することができる。
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