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週刊ダイヤモンド今週号より〜ヤフー宮坂体制で初の挫折、イー・アクセス買収断念の理由

注目トピックス 経済総合
ヤフー<4689>がイー・アクセスの買収を断念した5月19日、キャリア関係者や取引先には失望感が広がりました。買収発表から約2ヵ月後、急転直下とも言える判断に至った背景には何があったのでしょうか。

今回のキャリア買収は、国内で成長を目指すヤフーがインターネット広告事業を伸ばすための大きな一手と位置づけられていました。加入契約者数のほか、携帯ショップや量販店などの「拠点」を取得、ここで端末を販売して、Eコマースなどのネットサービスの利用を広げていく狙いがありました。

買収断念の決定に大きな影響を及ぼしたのは、親会社のソフトバンク<9984>側の事情と見られます。ヤフーの取締役は4人のうち3人がソフトバンク系幹部ですが、ソフトバンクにとって、この2ヶ月の間に劇的な環境変化が起きていたのです。

第一に、中国アリババ・グループが正式に上場を申請したことで、3兆円以上の含み益が生まれることが確実になりました。ヤフーからの金を当てにしなくても、Tモバイル買収に向けた資金集めがひと息つく格好になりました。第二は、新たな周波数帯の分配ルール変更です。総務省が分配ルールの変更を見直したことで、イー・アクセスがヤフーにくら替えするメリットもなくなる格好になりました。そのほか、相次ぐ格安プランの出現も、ヤフーが目指したキャリア版LCCとも言うべき格安モデルの優位性消失につながりました。

加えて、ネット企業とインフラ企業の融合の難しさも根底にあったようです。ネットサービスと違って、インフラを提供するとなれば、終日の稼働は当たり前で、失敗は許されません。この企業文化の違いを考えれば、今回の決断は「勇気ある撤退」といえそうだとダイヤモンド誌では指摘しています。



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