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【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(1):◆中国の市場再開◆

注目トピックス 経済総合


〇黒田総裁の自信、市場は戻り志向〇

8日、ワシントンで講演を行った黒田日銀総裁は「現時点で一段の利下げが必要とは考えていない」と述べた。9月の「総括・政策変更」で円高対応にシフトしたと受け止めているので、当面はドル円100円割れのリスクが遠退いたと見ていることを示したと考えられる。10月に入ってまだ1週間だが、日銀は株式ETF(12億円/日の成長・人材投資分は除く)を購入していない。9月に11営業日、8063億円も購入(年6兆円=月約5000億円ペースから見ればオーバーペース。1日当たり733億円購入しているので標準は月7回程度。10月の購入を3回にすれば標準ペースに戻る)したことから見ると、株価下落のリスクも遠退いていると判断していると見られる。

揺さ振りの要因となる可能性があった先週末の米雇用統計、10日の米大統領選2回目のTV討論会は、無難な結果となった。雇用統計は非農業部門雇用者数増が15.6万人と予想の17.2万人を下回り、一瞬102円台にドルが下落したが、直ぐに落ち着きを取り戻した。「12月利上げ」への最低ラインは15万人増をキープすることだったとされる。過熱状況でも無かったので、大統領選直前の11月利上げの可能性はほぼゼロ。TV討論会は泥仕合の様相で、視聴者数が大きく減少(調査会社ニールセン調べ、約6360万人、一回目は過去最多の8400万人)、共和党のライアン下院議長が「クリントン氏が大統領選で勝利する可能性が高い」とほぼ認めた。7日に発覚したトランプ氏の女性蔑視発言が致命的な批判の声を広げている。

足取りは重いが、日経平均は引き続き16000〜17500円ゾーンの上限攻防に向かうと想定される。来週末辺りからの企業決算を睨む攻防が続こう。なお、英ポンドが波乱となっているが、英FT100株価指数は最高値(15年4月7103.98)に迫る動き。投機筋のポンド・ショートの回転を狙った動き(円ロングが解消されやすい)と思われる。


〇中国の市場再開〇

長い国慶節休みを経て、今週から中国市場が再開された。波乱となるリスクはむしろ、こちらにあるかも知れない。連休中に19都市で不動産投資規制が実施され、遼寧省の国有大手鉄鋼メーカー・東北特殊鋼集団が経営破綻した。休み明けの市場は、人民元が約6年ぶりの安値(1ドル=6.7028元)を付け、上海株は2ヵ月ぶりの大幅上昇(+1.45%)となった。国務院は企業の債務削減に関する指針を発表。ゾンビ企業を中心に統合再編を進める方向(政府指示で銀行は返済猶予を行っているとされる)。市場の噂では、「新三市場」と言う新興株市場を創設し、4000社の上場、3.5兆元の資金を集める意向とされる。統合再編に利用する思惑が見え、同時に余剰マネーを不動産から株式市場に振り向けようとしている可能性がある。株高はそれを見越した動きの可能性がある。

果たして、そう上手く行くか。7日発表の9月末外貨準備高は3兆1660億ドルと8月から190億ドル減少した。減少は3ヵ月連続。10月からSDRに採用されたが、「国際通貨」の信認が問われる。また、再来週から共産党大会が開催される。ゾンビ企業対策は地方の不満を広げているとされ、政治攻防が激しくなる可能性がある。波乱リスクを睨みながらの攻防となろう。


以上



出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(16/10/11号)



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