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為替週間見通し:ドル・円はもみあいか、米政権運営と金融政策を巡る思惑が交錯

注目トピックス 市況・概況
■ドル上げ渋り、イエレンFRB議長は金融政策に言及せず

先週のドル・円は上げ渋り。ドル・円は21日のニューヨーク市場で108円64銭まで売られたが、ムニューシン米財務長官が税制改革実施を公約したことや、マコネル共和党上院院内総務が「米国が債務上限引き上げに失敗する確率はゼロ」と述べたことから、政府機関閉鎖の懸念は後退し、ドルを買い戻す動きが広がった。

しかしながら、トランプ米大統領は22日、支持者の集会でメキシコとの国境での壁建設で必要なら政府閉鎖も辞さないと表明したことから、ドルは108円台後半まで売られる展開となった。ただ、25日に行われるイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演(米ワイオミング州ジャクソンホールで開催される経済シンポジウムでの講演)を控えて、投資家の多くは様子見姿勢を保っており、ドルは109円前後でもみ合う状態がしばらく続いた。
市場関係者が注目していたイエレンFRB議長の講演では「2007年-2009年の金融危機以降に導入された改革によって、経済成長を阻害することなく金融システムが強化された」との見解が示された。市場関係者の多くは、年内追加利上げの可否や今後の金融政策について何らかの示唆があると期待していたようだが、金融政策に関する言及がなかったことから、ポジション調整的なドル売りが優勢となった。25日のニューヨーク市場でドル・円は109円84銭から一時109円12銭まで反落し、109円33銭でこの週の取引を終えた。取引レンジ:108円64銭-109円84銭。

■ドル・円はもみあいか、米政権運営と金融政策を巡る思惑が交錯

今週のドル・円はもみあいか。トランプ政権による政策運営や米連邦準備制度理事会(FRB)の金融正常化への思惑が交錯し、方向感の出にくい相場展開となりそうだ。トランプ米大統領はメキシコ国境付近の「壁」建設をめぐり、費用を政府予算に計上する考えを示したことをきっかけに、政府の債務上限問題への懸念が強まっている。

ライアン米下院議長は24日、「確実に債務を履行するための法案を通過させる」、「トランプ大統領と議会は優先課題で合意」との見方を伝えているが、2018会計年度が始まる10月までの審議時間は多く残されていないため、目先的には債務上限引き上げの可否を巡って株安・ドル安に振れやすい地合いが続きそうだ。

しかしながら、トランプ政策の目玉である税制改革法案に関しては、共和党議員の間での合意は形成されているとの見方が広がっており、法案成立を見込んで株式相場は上昇し、株高を意識してドル買いが強まる可能性もある。

一方、9月19-20日に開催予定の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向け、金融政策へ関心も高まりそうだ。米カンザスシティ連銀主催の経済シンポジウムで、イエレンFRB議長は金融政策について言及しなかったことから、4-6月期国内総生産(GDP)改定値や8月雇用統計)などの米経済指標や金融当局者の発言から次回FOMCで決定される金融政策を探る展開となりそうだ。FRBのバランスシート縮小の9月着手は織り込まれつつあるが、市場コンセンサスである12月の追加利上げへの期待が再び高まった場合、ドル買いが強まるだろう。

【米・4-6月期国内総生産(GDP)改定値】(8月30日発表予定)
30日発表の4-6月期GDP改定値は、FRBが9月19-20日に開催するFOMCでの政策決定の材料となる。前期比年率で速報値+2.6%から+2.7%への上方修正が見込まれている。GDP成長率の大幅改善なら追加利上げ期待も。

【米・8月雇用統計】(9月1日発表予定)
8月雇用統計は、失業率4.3%(前回4.3%)、非農業部門雇用者数は前月比+18.0万人(同+20.9万人)、平均時給は前年比+2.6%(同+2.5%)と予想される。予想通りなら緩やかなペースでの利上げ継続への期待が広がり、ドル買い材料になるとみられる。

・予想レンジ:108円00銭−111円00銭




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