システム ディ Research Memo(4):私立校向け校務支援システム「キャンパスプラン」はスタンダードへ
[14/07/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■各事業部門の状況
(1)学園ソリューション事業
学園ソリューション事業は私立学校(特に大学、高校)向けに、学園事務全般にわたる校務支援パッケージソフトを提供する事業だ。学園ソリューション事業は同社の創業事業でもあり、全社の売上高の約60%を占める中核事業となっている。
同事業の主力製品は「キャンパスプラン.NET Framework」で、これは学園にとって学生・生徒を管理する学務系事務作業や、学園内部を管理する法人系事務作業はもちろん、Webサービスまで学校運営全般を幅広くカバーする内容となっている。システム ディ<3804>はこれを大規模学校法人向けにパッケージソフトのライセンスの売切りで発売するほか、中小規模法人向けに採用へのハードルがより低いクラウド形式でも提供している。
同社の同分野でのポジションは、デファクトスタンダードを握る位置にある。2014年4月末時点での累計納入実績は890校に達している。学務系やWeb系、会計ソフトなど、個々の事務領域においては各種の競合メーカー・競合ソフトは存在しているが、学校運営全般に対するソリューションをワンストップで提供する「キャンパスプラン」に真正面から競合するパッケージソフトは現時点で存在しない。デファクトスタンダードを握る同社といえども、契約更新に当たっては他社同様に評価・選別にさらされるが、ソフトウエアの作り込みが進んだ結果、高い顧客満足度を獲得しており、更新時の受注獲得率はほぼ100%に達しているようだ。新規採用についても、対象となる市場の大多数がまだ手つかずで残っている状況だ。大規模校だけで約3,000校、中小規模校で約13,000校が同事業の対象になる。このうち同社の顧客となっているのは大規模校中心の890校に過ぎず、クラウドで提供する中小規模校には大きな可能性があると言える。
同事業は基本的に不安に乏しいものの、少子化の影響で学校経営が厳しくなることを懸念する向きもある。しかし、この点について過度な悲観は不要だと弊社では考えている。経営環境が悪化した場合、最初にメスが入るのは人件費の部分であり、削減した人員の働きを補うために高効率のシステム化投資が行われることが多い。また、制度変更に伴うパッケージソフト更新需要も同社にとっては追い風となると期待される。文部科学省は2013年4月に学校法人会計基準の一部を改正する省令を公布した。この改正は2015年度(一部の学校は2016年度)の会計年度から適用となるが、すでにこれを受けた更新需要が表面化している。より長期で見ると大学入試の制度改革がある。文部科学省の中央教育審議会が具体的な制度設計を議論してきたが、同審議会は6月20日に「達成度テスト」のうち、「発展レベル」についての答申案を示した。同改革は2021年春に大学に入学する高校生(2014年7月現在の小学校6年生)から適用となる見通しであるが、共通一次試験の導入以来の大幅な改革となることが見込まれ、同社にとっては大型の更新需要が期待できる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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