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日本M&Aセンター Research Memo(3):通期業績は上振れの可能性も。配当の増額にも期待

注目トピックス 日本株
■通期業績見通しと事業展開

上半期の業績は上振れしたものの、通期の見通しに関しては据え置いた。これは、業務の先行きが読めないことから、中途半端な予想を公表しないため。通期の業績実績と当初予想の関係をみると、5期連続で上振れした経緯がある。コンサバティブな姿勢にあり、通期の経常利益6,710百万円の予想値は上方修正される可能性が大きい。配当性向の公約は35%で、今期は年間39円配で4円増配の予想だが、これも増額が予想される。

日本M&Aセンター<2127>は、業績連動型有償・ストック・オプションを発行しており、オプションの行使可能割合とリンクする達成利益が中期経営目標を示す。たとえば、2019年3月期に年間の経常利益が10,000百万円を達成した場合、割当分の40%を行使可としている。つまり、行使条件がそのまま事実上の経営目標になる訳だが、ストック・オプションと絡ませるあたり、会社側の自信の現れとみていいだろう。

成約件数の拡大は、M&Aが拡大しているという点だけにとどまらない。同社の顧客に対するアプローチ、取り込み方の変化も寄与しているようだ。同社の情報開発ルートは、会計事務所や金融機関などのネットワークを活用した「M&A情報ネットワーク」と、セミナーなどを通じてコンタクトする「ダイレクト情報」の2つに大別するが、このうち後者に関して、包括的に行っていたセミナーを直近の1年では業種別に絞り込んで実施。これが案件取り込みの効率化につながっている。

リピート率は高いが、中小企業は資金事情でいったんM&Aを実施すると、次のM&Aを実施するまで5年程度の期間を要するため、足元では新規顧客が成約の中心。このことはM&Aに関して、すそ野が広がっている状態が続いている証左となろう。もちろん、リピート率の高さは中長期的なプラス材料となるのは言うまでもない。

今後のビジネスチャンスとして注目できるのは、中堅・中小企業における後継者難の問題だ。高齢化の波は産業界でも顕著になっており、事業が順調に推移しながらも、後継者が不在であることから、クローズしてしまう例が後を絶たない。同社は昨年度に売り手ベースで170件のM&Aを手掛けているが、これを1都道府県平均で換算すると3.5件となる。県単位で後継者難の企業が3〜4社などということはありえず、将来的に後継者に絡んだビジネスが“ドル箱”となりそうな状況だ。

地域的には、来年度に福岡へ支店を設置する予定で、これによって、九州地区のビジネスを広げていく。既に、顧客向けのセミナーを九州で開催するなど、攻勢をかけるために地ならしをしている。

財務状態は良好で、実質無借金経営。東証1部上場企業という信用力とともに、これが顧客への安心感につながっている。また、この8月に同社は「JPX日経インデックス400」の構成銘柄に採用された点も投資家のみならず、顧客に対して信用度をアピールするポイントになりそうだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野 文也)



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