トライSTG Research Memo(2):ダイレクトマーケティング事業が事業の中心
[16/04/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業概要と市場環境
(1)事業概要
トライステージ<2178>の事業は「ダイレクトマーケティング支援事業」と「ダイレクトメール発送代行事業」の2つのセグメントで構成されている。このうち「ダイレクトメール発送代行事業」は2012年11月に子会社化(出資比率86.8%)したメールカスタマーセンター(株)(以下、MCC)の事業となる。2016年2月期における事業別構成比は、「ダイレクトマーケティング支援事業」が売上高で76.2%、のれん償却前営業利益で89.5%を占めており、同社事業の中心となっている。
「ダイレクトマーケティング支援事業」では、テレビ通販事業者に対して、テレビ通販番組枠やCM枠の提供、販売戦略のプランニング、番組の制作、商品の受注(コールセンターの斡旋)、放送後の効果分析や物流・決済、顧客管理の支援に至るまで、ダイレクトマーケティング(通信販売)に必要なあらゆるサービスを提供している。
同事業における継続的な顧客数は90社程度とみられ、このうち上位10社で7割弱を占めている。主要顧客はキューサイ(株)、(株)富山常備薬グループなどが挙げられ、いずれも全体の売上構成比で10%を超える水準となっている。また、顧客を業種別で見ると、健康食品、美容(化粧品)、生活雑貨業種が大半を占めているのが特徴だ。また、ここ最近は会員誘導型企業(スポーツジムなど)や通信教育サービス企業など新規業種やクライアントの開拓にも注力しており、新規クライアント(取引開始後2年以内)の売上高構成比率で見ると、2015年2月期の8.4%から2016年2月期は13.0%に上昇しており、顧客開拓が進んでいることがうかがえる。
一方、「ダイレクトメール発送代行事業」は、連結子会社のMCCで展開している。顧客企業が発送するパンフレットやカタログなど軽量物を入れたダイレクトメールの発送代行業務を主に行っている。顧客企業数は全国に約600社、年間1億5千万通と国内トップクラスの実績を持つ。日本郵便(日本郵政<6178>)の「ゆうメール」やヤマト運輸(ヤマトホールディングス<9064>)の「クロネコDM便」を利用し、大口割引適用を受けることによって顧客企業の発送コスト削減を実現している。東京本社のほか、札幌、新潟、名古屋、大阪、福岡の6拠点で営業展開を行っている。
発送代行業務のみでは付加価値が低いため、企画や印刷、発送物の封入作業など川上工程にも注力している。また、現在は代理店経由の売上高が8割程度と大半を占めるが、収益性を向上していくため直取引の比率向上に取り組んでいる。
2016年2月末時点のグループ会社は、連結子会社が3社(MCC他2社)と持分法適用関連会社2社で構成されている。
(2)市場動向と競合企業
一般に「ダイレクトマーケティング」とは、テレビやインターネット等のメディアに電話番号やURL等のコンタクト先を明示し、電話やEメール等で消費者と直接型・対話型のコミュニケーションを取り、商品やサービスを販売するマーケティング手法を指す。いわゆる通信販売である。
2015年の国内の通販市場は全体で約8.4兆円と前年比4%増になったとみられ、媒体別で見るとECが6.5兆円と全体の7割強を占め、次いでカタログ通販が1.2兆円、テレビ通販が5,000億円を超える規模となっている。ダイレクトマーケティング市場全体の直近10年間の年平均成長率(2005年−2015年)が約9%であるのに対して、テレビ通販市場は約4%と緩やかとなっており、2014年以降はほぼ横ばい水準で推移している。一方で、EC市場はインターネットやスマートフォンの普及に伴い、年率10%を超えるペースで成長が続いている。ただ、ECの中にはTVの通販番組を見てWeb経由で予約するケースも一定割合存在するため、実際のTV通販市場はもう少し大きい規模になっていると思われる。
なお、競合企業は大手広告代理店から番組制作会社まで様々だが、いずれもテレビ通販のバリューチェーンの一部を提供するにとどまっている。マーケティング支援サービスに関して川上から川下まで総合的に提供できる企業は同社のみであり、これが同社の特徴であり、強みとなっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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(1)事業概要
トライステージ<2178>の事業は「ダイレクトマーケティング支援事業」と「ダイレクトメール発送代行事業」の2つのセグメントで構成されている。このうち「ダイレクトメール発送代行事業」は2012年11月に子会社化(出資比率86.8%)したメールカスタマーセンター(株)(以下、MCC)の事業となる。2016年2月期における事業別構成比は、「ダイレクトマーケティング支援事業」が売上高で76.2%、のれん償却前営業利益で89.5%を占めており、同社事業の中心となっている。
「ダイレクトマーケティング支援事業」では、テレビ通販事業者に対して、テレビ通販番組枠やCM枠の提供、販売戦略のプランニング、番組の制作、商品の受注(コールセンターの斡旋)、放送後の効果分析や物流・決済、顧客管理の支援に至るまで、ダイレクトマーケティング(通信販売)に必要なあらゆるサービスを提供している。
同事業における継続的な顧客数は90社程度とみられ、このうち上位10社で7割弱を占めている。主要顧客はキューサイ(株)、(株)富山常備薬グループなどが挙げられ、いずれも全体の売上構成比で10%を超える水準となっている。また、顧客を業種別で見ると、健康食品、美容(化粧品)、生活雑貨業種が大半を占めているのが特徴だ。また、ここ最近は会員誘導型企業(スポーツジムなど)や通信教育サービス企業など新規業種やクライアントの開拓にも注力しており、新規クライアント(取引開始後2年以内)の売上高構成比率で見ると、2015年2月期の8.4%から2016年2月期は13.0%に上昇しており、顧客開拓が進んでいることがうかがえる。
一方、「ダイレクトメール発送代行事業」は、連結子会社のMCCで展開している。顧客企業が発送するパンフレットやカタログなど軽量物を入れたダイレクトメールの発送代行業務を主に行っている。顧客企業数は全国に約600社、年間1億5千万通と国内トップクラスの実績を持つ。日本郵便(日本郵政<6178>)の「ゆうメール」やヤマト運輸(ヤマトホールディングス<9064>)の「クロネコDM便」を利用し、大口割引適用を受けることによって顧客企業の発送コスト削減を実現している。東京本社のほか、札幌、新潟、名古屋、大阪、福岡の6拠点で営業展開を行っている。
発送代行業務のみでは付加価値が低いため、企画や印刷、発送物の封入作業など川上工程にも注力している。また、現在は代理店経由の売上高が8割程度と大半を占めるが、収益性を向上していくため直取引の比率向上に取り組んでいる。
2016年2月末時点のグループ会社は、連結子会社が3社(MCC他2社)と持分法適用関連会社2社で構成されている。
(2)市場動向と競合企業
一般に「ダイレクトマーケティング」とは、テレビやインターネット等のメディアに電話番号やURL等のコンタクト先を明示し、電話やEメール等で消費者と直接型・対話型のコミュニケーションを取り、商品やサービスを販売するマーケティング手法を指す。いわゆる通信販売である。
2015年の国内の通販市場は全体で約8.4兆円と前年比4%増になったとみられ、媒体別で見るとECが6.5兆円と全体の7割強を占め、次いでカタログ通販が1.2兆円、テレビ通販が5,000億円を超える規模となっている。ダイレクトマーケティング市場全体の直近10年間の年平均成長率(2005年−2015年)が約9%であるのに対して、テレビ通販市場は約4%と緩やかとなっており、2014年以降はほぼ横ばい水準で推移している。一方で、EC市場はインターネットやスマートフォンの普及に伴い、年率10%を超えるペースで成長が続いている。ただ、ECの中にはTVの通販番組を見てWeb経由で予約するケースも一定割合存在するため、実際のTV通販市場はもう少し大きい規模になっていると思われる。
なお、競合企業は大手広告代理店から番組制作会社まで様々だが、いずれもテレビ通販のバリューチェーンの一部を提供するにとどまっている。マーケティング支援サービスに関して川上から川下まで総合的に提供できる企業は同社のみであり、これが同社の特徴であり、強みとなっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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