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ALBERT Research Memo(8):組織改編などにより、利益を稼ぎながら高成長を実現する収益構造改革に着手

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

2. 2018年12月期の事業方針
2018年12月期の事業方針としてALBERT<3906>は、「体制の改編(選択と集中)」「ケーパビリティの確保(アライアンスと蓄積した分析ノウハウの活用)」「重点産業・顧客のスコープ(技術応用領域の特定)」の3つを基本戦略として掲げ、収益の拡大を目指していく方針だ。

(1) 「体制の改編」
ビジネス・アナリティクス市場において今後、ビッグデータ分析とデータエンジニアリングを組み合わせたソリューションに対するニーズの拡大が見込まれていることから、機動性のある組織体制に改編し、内部稼働率の向上と収益力の拡大を進めていく。2016年まではデータを分析し、分析結果をレポーティングすることが大半であったが、ここ最近は顧客のビジネスに最適な分析モデルのアルゴリズムを開発、導入するといったニーズが同社に多く寄せられているため、それらにも積極的に対応していく。

組織体制として2017年まではデータ分析部(データアナリスト)とシステムソリューション部(データエンジニア)と機能別に分け、8つのプロダクトを部門別に研究開発・運用していた。これを2018年以降は大規模化するソリューションニーズに柔軟に対応していくため、データソリューション部とプロダクト開発部に組織変更(部門統合)した。データアナリストやデータエンジニアを一体化し、プロジェクト案件に対応していく一方で、プロダクト開発については最適なリソースで研究開発を行っていく方針とし、現在データサイエンティスト95名のうち、データソリューション部を83名、プロダクト開発部12名とした体制となっている。この体制変更によって、内部稼働率※が向上し、結果、収益性の向上が期待されることになる。同社では内部稼働率を2017年の50%から2018年は70〜80%まで引き上げていくことを目標としている。

※プロフィット部門の人員の売上案件に携わった工数÷プロフィット部門全体の工数。


なお、プロダクトについては現在、8つの製品・サービスがあるが、このうち今後の成長が期待される「Proactive AI」とほか1プロダクトについては機能向上に向けた開発投資を継続していくが、残り6プロダクトについてはコア機能の開発を完了しており今後は顧客ごとのカスタマイズ対応のみとし、研究開発費の最適化を図っていく。

(2) ケーパビリティの確保
同社ではデータサイエンティスト(データアナリスト、データエンジニア)拡充のため、新卒の採用やテクノプロとの協業による人材育成に積極的に取り組んでいく。2017年の採用は17名で、うち新卒は2名、中途採用でデータアナリスト8名、データエンジニア7名を採用したが、前述したように市場においてのデータサイエンティスト不足の影響で採用コストの高騰が継続しており、中途採用を行うよりも新卒者の育成や協業により効率的に人材を拡充していくことが重要であるとみられる。

新卒者については2018年に数理統計分野の専攻を主とした12名を採用し、2019年以降も同様のペースで採用を進めていく方針。また、テクノプロとの協業によって2018年は200人ほどの育成を目指しており、いずれも2018年下期の戦力化が期待され、同社の収益拡大に貢献することが期待される。

なお、営業体制については現在8名だが、今後も特に増員の予定はない。同社のプロジェクト案件の約9割は顧客からの依頼によるプル型営業となっている。また、専門的な知識を要求されることから、データサイエンティストが案件ごとに対応するケースが大半のためだ。

(3) 重点産業・顧客のスコープ
同社ではAI投資が旺盛な各産業のリーディングカンパニーから、同社のコアテクノロジー※に対するニーズが拡大していることを受け、重点産業及び技術応用領域を絞り込み、中長期的かつ安定的に取引規模の拡大を図る戦略となっている。

※ディープラーニングを主とした機械学習応用技術、数理統計の原理を理解した統計モデリング技術、並列分散処理基盤やHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)に対応可能なシステム実装技術等が同社のコアテクノロジーとなっている。


具体的には、自動車(自動運転技術)、通信・流通、製造(スマートファクトリー)、金融業界におけるリーディングカンパニーを重点ターゲットにプロジェクト案件を獲得し、収益を拡大していく戦略となる。とりわけ、自動運転技術に関するニーズは旺盛で、プロジェクト規模も大型化している。2017年はプロジェクト1案件当たり2.8ヶ月だったが、現在は中長期化が実現している。

また、製造業向けスマートファクトリーの分野では2017年に業務提携したマクニカとの協業による受注拡大が期待される。マクニカはエレクトロニクス・車載電装品メーカー等多くの製造業を顧客に抱えており、これら顧客ではスマートファクトリー化に対するニーズが高いためだ。

その他、通信・流通業界では需要・売上予測等にAIによる分析ニーズが高まっているほか、金融業界でもチャットボットによる業務効率の改善や、AIを使った経済指標予測や証憑等の文字認識技術に対するニーズが強く、今後の受注拡大が期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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