橋本総業HD Research Memo(3):管材類を中心とした多様な品揃え。「みらい活動」でバリューチェーン作り
[19/08/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業概要
1. 取扱商品
橋本総業ホールディングス<7570>の取扱商品は、管類、継手類、バルブ類、化成品類、工具関連機材など管材類、便器・手洗器、洗面化粧台など衛生陶器・金具類、給湯関連や厨房関連など住宅設備機器類、各種エアコンや各種ポンプなど空調機器・ポンプであり、水回りのパイプやガス関連の商品が多いという特徴がある。主要な仕入先メーカーは積水化学工業<4204>やTOTO <5332>、パナソニック<6752>、キッツ<6498>、ダイキン工業<6367>など業界や日本を代表するメーカーが多い。なかでもTOTOからの仕入高は全仕入の30%程度になるなど、メーカーサイドにとっても同社は外すことのできない流通の要となっている。取扱アイテム数は4万点あり、主要倉庫では常時13,000点を在庫している。2019年3月期のセグメント別売上高構成比は管材類32.3%、衛生陶器・金具類28.6%、住宅設備機器16.3%、空調機器・ポンプ21.8%となっている。
「みらい活動」でバリューチェーン作り
2. 流通構造上の特徴
近年、MRO(間接資材)販売などにおいては、MonotaRO<3064>やアスクル<2678>、アマゾン・ドット・コムなどECの成長が目覚しいが、同社は取引先向けに商品情報や地域〜マクロ情報、人材の研修・教育などのサービスを提供しており、ほかにも設計段階から見積もりに参加するなど、メーカー、2次卸、ゼネコン、工務店・施工業者と川上から川下までが一体となったバリューチェーン※を既に形成しているという強みがある。リアルにしろECにしろ、強力なバリューチェーンを形成したほうが有利と考えられる。
※バリューチェーン:川上から川下までが一体となった商物情報流それぞれに高い付加価値のある流通。
パラダイムシフトについては、かつてホームセンターがプロ向け商材を拡充した際の状況に似ている。突如現れたECやホームセンターの利便性にフォーカスして比較したため、新しい流通が市場を席巻したように見える。しかし、従来の流通も利便性を高めることができる。同社では、土日祝日24時間365日いつでも注文や在庫を検索できる会員専用Webサイト「Online Partner System(OPS)」を運営している。ネットカタログ「e-設備NET/PRO」では、建築現場で必要となるカタログや図面などをWeb上から取り出すことができる。また、販売店からのWeb受注は既に売上の2割に達しており、更に比率を上げているなど、同社もWebを通じた利便性ニーズをしっかり捕捉している。なお、新しい流通と従来の流通の2つを融合して活用するのが結果的に強力と言えるのは、EC専業がリアル店舗を求めていることからも分かる。
また、同社のバリューチェーン作りを「みらい活動」と言い、業界最大、最良のネットワークを目指している。「みらい活動」には「みらい会」「みらい市」「みらいサービス」がある。「みらい会」は、研修やイベントを通じて会員の要望に応える会である。「みらい会」は全国22地区それぞれにあり、販売店約500社、仕入先約150社、そして同社の各支店で構成されている。研修会は年4回以上開催され、参加者は商材や経営などのノウハウの取得に取り組む。また、川上から川下への情報伝達だけでなく、川下から川上へのフィードバックもある。「みらい市」は業界最大級の展示会イベントで、メーカーの展示ばかりでなく、「みらい会」会員相互の販促の場にもなっている。また、ネット上で「みらい市」を体験できる「Webみらい市」も開催している。「みらい市」は2019年上期に北海道、中部、東北で開催、下期には東京と中四国で開催する予定である。ちなみに、最大規模の東京みらい市の2018年の実績は、メーカー450社が出展、来場者数は15,000人を超える大規模なイベントとなった。このように、同社のバリューチェーンでは、販売店・工事業者、メーカー、金融、そして同社が“4位1体”となってコラボレーションをしているのである。
「みらい会」「みらい市」を背景に、販促、支援、研修、ITなど「みらいサービス」も展開している。販促ツールとしては、社名入りで総合管材百科(カタログ)の「みらい百科」、市況や経済、商品の最新情報を毎月届ける「月刊みらい」、「月刊みらい」を動画にした「みらいTV」、最新の業界・商品情報をメールやFaxで届ける「みらいデイリーニュース」などがある。支援ツールは、図面や3Dプレゼンシート作成をサポートする「設計支援」、リフォーム受注に向けた設備機器の省エネ診断ツールの「省エネ診断」、設備機器を10年保証する「機器保証」などがある。研修は毎月本社などで開催する経営幹部セミナー「橋本学校」、各地で開催するセミナーや講演会、商品の研修などを通じて業界のプロを目指す「みらいアカデミー」、座学+施工など東雲研修センターでの「ショールーム研修」や施工研修、メーカーの内外工場での研修会など工場研修・海外研修などである。ITサービスとしてはOPSのほか、ペーパーレスFAXとデータ共有により見積・事務を代行する「ドキュワークス」、AIチャットボットを組み合わせた「みらいChat」、次世代リフォーム営業ツールの「イエプロ」、見積・受発注・売上・請求の管理システムの「HOPE」などがある。そのほか、重要テーマ別分科会研修会、販売店とメーカーをつなぐ製販懇親会やショールームを活用した地元密着の「ショールームみらい市」、エリア内配送の充実やパイプ・バルブの組立・加工・システム配管の充実といったサービスも行っている。
強い結び付きのバリューチェーンが強み
3. 強み
同社の強みは、在庫力や配送力、施工・加工能力、全国展開、業容の幅広さであるが、真の強みは、こうした強みをいかんなく発揮するための取引先との関係性=バリューチェーンにあると考えるべきだろう。「みらい会」や「みらい市」、「みらいサービス」などの裏方として川上と川下をつなぐことに徹することで、同社はメーカーや2次卸の厚い信頼を得る。特に2次卸向けには情報発信から販促支援、システム開発、人材教育まで、他社にない手厚いサービスを提供している。なかでも後継者を3〜5年預かって経営者としての教育をする「橋本学校(みらいアカデミー)」の卒業者は相当数いる。その結果、同社と取引先はさらに強い結び付きができ、ベストパートナーとしてメーカーから2次卸・施工業者までが一体となってコラボレーションできるのである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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1. 取扱商品
橋本総業ホールディングス<7570>の取扱商品は、管類、継手類、バルブ類、化成品類、工具関連機材など管材類、便器・手洗器、洗面化粧台など衛生陶器・金具類、給湯関連や厨房関連など住宅設備機器類、各種エアコンや各種ポンプなど空調機器・ポンプであり、水回りのパイプやガス関連の商品が多いという特徴がある。主要な仕入先メーカーは積水化学工業<4204>やTOTO <5332>、パナソニック<6752>、キッツ<6498>、ダイキン工業<6367>など業界や日本を代表するメーカーが多い。なかでもTOTOからの仕入高は全仕入の30%程度になるなど、メーカーサイドにとっても同社は外すことのできない流通の要となっている。取扱アイテム数は4万点あり、主要倉庫では常時13,000点を在庫している。2019年3月期のセグメント別売上高構成比は管材類32.3%、衛生陶器・金具類28.6%、住宅設備機器16.3%、空調機器・ポンプ21.8%となっている。
「みらい活動」でバリューチェーン作り
2. 流通構造上の特徴
近年、MRO(間接資材)販売などにおいては、MonotaRO<3064>やアスクル<2678>、アマゾン・ドット・コム
※バリューチェーン:川上から川下までが一体となった商物情報流それぞれに高い付加価値のある流通。
パラダイムシフトについては、かつてホームセンターがプロ向け商材を拡充した際の状況に似ている。突如現れたECやホームセンターの利便性にフォーカスして比較したため、新しい流通が市場を席巻したように見える。しかし、従来の流通も利便性を高めることができる。同社では、土日祝日24時間365日いつでも注文や在庫を検索できる会員専用Webサイト「Online Partner System(OPS)」を運営している。ネットカタログ「e-設備NET/PRO」では、建築現場で必要となるカタログや図面などをWeb上から取り出すことができる。また、販売店からのWeb受注は既に売上の2割に達しており、更に比率を上げているなど、同社もWebを通じた利便性ニーズをしっかり捕捉している。なお、新しい流通と従来の流通の2つを融合して活用するのが結果的に強力と言えるのは、EC専業がリアル店舗を求めていることからも分かる。
また、同社のバリューチェーン作りを「みらい活動」と言い、業界最大、最良のネットワークを目指している。「みらい活動」には「みらい会」「みらい市」「みらいサービス」がある。「みらい会」は、研修やイベントを通じて会員の要望に応える会である。「みらい会」は全国22地区それぞれにあり、販売店約500社、仕入先約150社、そして同社の各支店で構成されている。研修会は年4回以上開催され、参加者は商材や経営などのノウハウの取得に取り組む。また、川上から川下への情報伝達だけでなく、川下から川上へのフィードバックもある。「みらい市」は業界最大級の展示会イベントで、メーカーの展示ばかりでなく、「みらい会」会員相互の販促の場にもなっている。また、ネット上で「みらい市」を体験できる「Webみらい市」も開催している。「みらい市」は2019年上期に北海道、中部、東北で開催、下期には東京と中四国で開催する予定である。ちなみに、最大規模の東京みらい市の2018年の実績は、メーカー450社が出展、来場者数は15,000人を超える大規模なイベントとなった。このように、同社のバリューチェーンでは、販売店・工事業者、メーカー、金融、そして同社が“4位1体”となってコラボレーションをしているのである。
「みらい会」「みらい市」を背景に、販促、支援、研修、ITなど「みらいサービス」も展開している。販促ツールとしては、社名入りで総合管材百科(カタログ)の「みらい百科」、市況や経済、商品の最新情報を毎月届ける「月刊みらい」、「月刊みらい」を動画にした「みらいTV」、最新の業界・商品情報をメールやFaxで届ける「みらいデイリーニュース」などがある。支援ツールは、図面や3Dプレゼンシート作成をサポートする「設計支援」、リフォーム受注に向けた設備機器の省エネ診断ツールの「省エネ診断」、設備機器を10年保証する「機器保証」などがある。研修は毎月本社などで開催する経営幹部セミナー「橋本学校」、各地で開催するセミナーや講演会、商品の研修などを通じて業界のプロを目指す「みらいアカデミー」、座学+施工など東雲研修センターでの「ショールーム研修」や施工研修、メーカーの内外工場での研修会など工場研修・海外研修などである。ITサービスとしてはOPSのほか、ペーパーレスFAXとデータ共有により見積・事務を代行する「ドキュワークス」、AIチャットボットを組み合わせた「みらいChat」、次世代リフォーム営業ツールの「イエプロ」、見積・受発注・売上・請求の管理システムの「HOPE」などがある。そのほか、重要テーマ別分科会研修会、販売店とメーカーをつなぐ製販懇親会やショールームを活用した地元密着の「ショールームみらい市」、エリア内配送の充実やパイプ・バルブの組立・加工・システム配管の充実といったサービスも行っている。
強い結び付きのバリューチェーンが強み
3. 強み
同社の強みは、在庫力や配送力、施工・加工能力、全国展開、業容の幅広さであるが、真の強みは、こうした強みをいかんなく発揮するための取引先との関係性=バリューチェーンにあると考えるべきだろう。「みらい会」や「みらい市」、「みらいサービス」などの裏方として川上と川下をつなぐことに徹することで、同社はメーカーや2次卸の厚い信頼を得る。特に2次卸向けには情報発信から販促支援、システム開発、人材教育まで、他社にない手厚いサービスを提供している。なかでも後継者を3〜5年預かって経営者としての教育をする「橋本学校(みらいアカデミー)」の卒業者は相当数いる。その結果、同社と取引先はさらに強い結び付きができ、ベストパートナーとしてメーカーから2次卸・施工業者までが一体となってコラボレーションできるのである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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