ジェイ・エス・ビー Research Memo(3):不動産賃貸管理事業がグループの柱、高齢者住宅事業なども展開
[21/07/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■ジェイ・エス・ビー<3480>の事業概要
1. 不動産賃貸管理事業
同事業では、主に学生マンションの企画提案、竣工後の建物の賃貸運営及び管理業務を行っている。同事業は2021年10月期第2四半期累計の売上高で全体の94.2%、営業利益では97.6%(一般管理費等の調整額控除前の構成比)を占め、グループの柱である。物件管理戸数は75,946戸(前年同期比3,462戸増)に上り、内訳は借上物件(入居状況にかかわらず、オーナーに対して毎月一定額の家賃を支払う運営方式)41,317戸(同2,727戸増)、管理委託物件(オーナーにとって、入居実績がそのまま収入となる運営方式)31,167戸(同103戸増)、自社所有物件3,462戸(同632戸増)となっている。新規エリアへの進出や良い物件がある場合にスピード感を持って対応するために、この2〜3年は自社所有物件の増加が目立つ。また、契約決定件数も24,574件(同2,331件増)と増加を続けている。
2021年10月期第2四半期累計ではコロナ禍の影響を見込んでいたものの、非対面を中心とした営業戦略へシフトすることで計画上の下落幅を補う形となり、100%に近い過去最高の入居率を達成した。竣工後の建物管理や入居者へのきめ細かな同社独自のサービスが評価されていることが、年々物件管理戸数が増加しながらもほぼ満室状態を維持できている理由だろう。少子高齢化の問題が懸念されているなかでも、大学・短期大学への進学率上昇に伴い学生数が増加傾向にあることや、特に近年は女子学生数の増加によりセキュリティ設備が充実した学生マンションへの需要が高まっていることなど、市場環境も同社グループの事業展開を後押ししている。
コロナ禍を契機に現在は自宅からオンラインで授業を受けるリモート授業も一定数あるものの、実際に顔を合わせる授業の重要性は変わらない。また、長期的には大学生や留学生の増加傾向は続くと見られる。以上から、同社の不動産賃貸管理事業の持続的拡大基調は変わらないと見られる。
同社の学生マンションは入居者のほとんどが学生であり、セキュリティが厳重で設備が充実しているなどの特長がある。一般マンションでは提供できない「安心感」や「サービス」が同社の学生マンションの強みである。また、時代のニーズに即した物件を開発する「企画・開発・提案力」、全国ネットワークと多彩なメディアを駆使した「募集力」、迅速かつきめ細かなサポートができる「管理力」など、同社の強みを活用した一気通貫サポート体制によって、物件開発数の増加や高入居率が実現していると言えるだろう。
企画・開発・提案力では、プロの目でエリアを厳選し、独自のノウハウを活用したプランニングとサービスなどにより学生などの入居者に「安心、安全、快適」な住まいを提供する一方、不動産オーナーには安定的な収益を提供している。また募集力では、北海道から沖縄まで全国30都道府県にまたがるネットワーク、全国の大学生協や大学との提携、インターネットサイトなど、自社による様々なリーシング(賃貸の不動産物件に対してテナント付けを行うこと)力を有していることが提携校・募集協力校の増加につながり、高入居率の達成と物件管理戸数及び契約決定件数の増加の好循環を実現している。さらに管理力では、管理の経験とノウハウが入居者と不動産オーナーの双方に対して高い顧客満足度を実現する結果となっている。
同社が開発・運営している最近の事例としては、学生・単身者マンションでは、アリエッタ綾瀬(東京都足立区、全48室)、ELPIS二日町(仙台市青葉区、全36室)、Belwell表町(京都市上京区、全16室)、ルネサンスコート九大前(福岡市西区、全52室)などがある。また、食事付き学生マンションでは、Uni E’meal新潟?学前(新潟市西区、全207室)、学生会館Uni E’mealナゴヤドーム前(名古屋市東区、全77室)、学生会館Uni E’meal京都高野(京都市左京区、全117室)、学生会館Uni E’meal山口大学前(山口市平井、全97室)などがある。
2. 高齢者住宅事業
同社が将来の主力事業の1つとすべく注力している分野であり、関西地区を中心とするドミナント戦略推進によって、2017年10月期より黒字化を達成した。同事業は、2021年10月期第2四半期累計では売上高で全体の4.9%、営業利益は4.0%(一般管理費等の調整額控除前の構成比)を占める。新たに施設を開設した場合には人件費等が先行するために黒字化するまでに1年半程度かかる。ただ超高齢社会の進行を考えれば、今後の事業拡大・収益貢献が期待される部門である。物件管理戸数は666戸、管理棟数は14棟は前年同期と同数ながら、2019年10月にオープンした「グランメゾン迎賓館大津大将軍」の本格稼働もあり、入居率は94.1%(前年同期比2.4ポイント増)に上昇している。
高齢者向け不動産賃貸管理業務では、同社が不動産オーナーに対して主としてサービス付き高齢者向け住宅による不動産の活用を企画提案し、竣工後の運営業務を受託している。主に同社が一括借上を行い、借主に転貸する方式である。また介護サービス事業として、訪問介護、通所介護、居宅介護支援、定期巡回・随時対応型訪問介護看護などの事業を運営している。同社が受託・運営するサービス付き高齢者向け住宅の入居者のほか、一部の近隣住民なども対象にサービスを提供している。
3. その他の事業
その他の事業には不動産販売事業、学生支援サービス及び日本語学校事業などの様々な事業を含むが、2021年10月期第2四半期累計では、売上高で全体の0.9%、利益でマイナス1.6%(一般管理費等の調整額控除前の構成比)を占めるに過ぎない。コロナ禍により留学生が入国できなかったことも響き、損失幅が拡大した。その他の事業の売上高・利益のシェアは小さいが、主力事業に対する後方支援的な位置付けを担っており、主力事業とのシナジーを考えれば必要な事業と言えるだろう。
不動産販売事業では、販売用不動産として取得した土地、マンション、商業ビルなどの不動産を第三者に売却している。現在は市況が活性化しているものの、中期的な動向は不透明なことから不動産売買の仲介業務に注力している。学生支援サービスでは、学生の採用を目的とした企業説明会の開催の企画やサポートなどを受託している。学生に対しては企業説明会や就職セミナー情報の提供や、アルバイト情報の提供、インターンシップの支援も行っている。さらに日本語学校事業では、外国人留学生向けの日本語学校の運営のほか、生活サポートとして同社管理マンションを学生寮として活用している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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1. 不動産賃貸管理事業
同事業では、主に学生マンションの企画提案、竣工後の建物の賃貸運営及び管理業務を行っている。同事業は2021年10月期第2四半期累計の売上高で全体の94.2%、営業利益では97.6%(一般管理費等の調整額控除前の構成比)を占め、グループの柱である。物件管理戸数は75,946戸(前年同期比3,462戸増)に上り、内訳は借上物件(入居状況にかかわらず、オーナーに対して毎月一定額の家賃を支払う運営方式)41,317戸(同2,727戸増)、管理委託物件(オーナーにとって、入居実績がそのまま収入となる運営方式)31,167戸(同103戸増)、自社所有物件3,462戸(同632戸増)となっている。新規エリアへの進出や良い物件がある場合にスピード感を持って対応するために、この2〜3年は自社所有物件の増加が目立つ。また、契約決定件数も24,574件(同2,331件増)と増加を続けている。
2021年10月期第2四半期累計ではコロナ禍の影響を見込んでいたものの、非対面を中心とした営業戦略へシフトすることで計画上の下落幅を補う形となり、100%に近い過去最高の入居率を達成した。竣工後の建物管理や入居者へのきめ細かな同社独自のサービスが評価されていることが、年々物件管理戸数が増加しながらもほぼ満室状態を維持できている理由だろう。少子高齢化の問題が懸念されているなかでも、大学・短期大学への進学率上昇に伴い学生数が増加傾向にあることや、特に近年は女子学生数の増加によりセキュリティ設備が充実した学生マンションへの需要が高まっていることなど、市場環境も同社グループの事業展開を後押ししている。
コロナ禍を契機に現在は自宅からオンラインで授業を受けるリモート授業も一定数あるものの、実際に顔を合わせる授業の重要性は変わらない。また、長期的には大学生や留学生の増加傾向は続くと見られる。以上から、同社の不動産賃貸管理事業の持続的拡大基調は変わらないと見られる。
同社の学生マンションは入居者のほとんどが学生であり、セキュリティが厳重で設備が充実しているなどの特長がある。一般マンションでは提供できない「安心感」や「サービス」が同社の学生マンションの強みである。また、時代のニーズに即した物件を開発する「企画・開発・提案力」、全国ネットワークと多彩なメディアを駆使した「募集力」、迅速かつきめ細かなサポートができる「管理力」など、同社の強みを活用した一気通貫サポート体制によって、物件開発数の増加や高入居率が実現していると言えるだろう。
企画・開発・提案力では、プロの目でエリアを厳選し、独自のノウハウを活用したプランニングとサービスなどにより学生などの入居者に「安心、安全、快適」な住まいを提供する一方、不動産オーナーには安定的な収益を提供している。また募集力では、北海道から沖縄まで全国30都道府県にまたがるネットワーク、全国の大学生協や大学との提携、インターネットサイトなど、自社による様々なリーシング(賃貸の不動産物件に対してテナント付けを行うこと)力を有していることが提携校・募集協力校の増加につながり、高入居率の達成と物件管理戸数及び契約決定件数の増加の好循環を実現している。さらに管理力では、管理の経験とノウハウが入居者と不動産オーナーの双方に対して高い顧客満足度を実現する結果となっている。
同社が開発・運営している最近の事例としては、学生・単身者マンションでは、アリエッタ綾瀬(東京都足立区、全48室)、ELPIS二日町(仙台市青葉区、全36室)、Belwell表町(京都市上京区、全16室)、ルネサンスコート九大前(福岡市西区、全52室)などがある。また、食事付き学生マンションでは、Uni E’meal新潟?学前(新潟市西区、全207室)、学生会館Uni E’mealナゴヤドーム前(名古屋市東区、全77室)、学生会館Uni E’meal京都高野(京都市左京区、全117室)、学生会館Uni E’meal山口大学前(山口市平井、全97室)などがある。
2. 高齢者住宅事業
同社が将来の主力事業の1つとすべく注力している分野であり、関西地区を中心とするドミナント戦略推進によって、2017年10月期より黒字化を達成した。同事業は、2021年10月期第2四半期累計では売上高で全体の4.9%、営業利益は4.0%(一般管理費等の調整額控除前の構成比)を占める。新たに施設を開設した場合には人件費等が先行するために黒字化するまでに1年半程度かかる。ただ超高齢社会の進行を考えれば、今後の事業拡大・収益貢献が期待される部門である。物件管理戸数は666戸、管理棟数は14棟は前年同期と同数ながら、2019年10月にオープンした「グランメゾン迎賓館大津大将軍」の本格稼働もあり、入居率は94.1%(前年同期比2.4ポイント増)に上昇している。
高齢者向け不動産賃貸管理業務では、同社が不動産オーナーに対して主としてサービス付き高齢者向け住宅による不動産の活用を企画提案し、竣工後の運営業務を受託している。主に同社が一括借上を行い、借主に転貸する方式である。また介護サービス事業として、訪問介護、通所介護、居宅介護支援、定期巡回・随時対応型訪問介護看護などの事業を運営している。同社が受託・運営するサービス付き高齢者向け住宅の入居者のほか、一部の近隣住民なども対象にサービスを提供している。
3. その他の事業
その他の事業には不動産販売事業、学生支援サービス及び日本語学校事業などの様々な事業を含むが、2021年10月期第2四半期累計では、売上高で全体の0.9%、利益でマイナス1.6%(一般管理費等の調整額控除前の構成比)を占めるに過ぎない。コロナ禍により留学生が入国できなかったことも響き、損失幅が拡大した。その他の事業の売上高・利益のシェアは小さいが、主力事業に対する後方支援的な位置付けを担っており、主力事業とのシナジーを考えれば必要な事業と言えるだろう。
不動産販売事業では、販売用不動産として取得した土地、マンション、商業ビルなどの不動産を第三者に売却している。現在は市況が活性化しているものの、中期的な動向は不透明なことから不動産売買の仲介業務に注力している。学生支援サービスでは、学生の採用を目的とした企業説明会の開催の企画やサポートなどを受託している。学生に対しては企業説明会や就職セミナー情報の提供や、アルバイト情報の提供、インターンシップの支援も行っている。さらに日本語学校事業では、外国人留学生向けの日本語学校の運営のほか、生活サポートとして同社管理マンションを学生寮として活用している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<EY>