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ネクスグループ Research Memo(6):前年同期比で減収減益となるも、各セグメントの収益性は大きく改善(2)

注目トピックス 日本株
*14:56JST ネクスグループ Research Memo(6):前年同期比で減収減益となるも、各セグメントの収益性は大きく改善(2)
■ネクスグループ<6634>の業績動向

(2) IoT関連事業
売上高は243百万円(前年同期比4.9%減)、営業利益は9百万円(前期は19百万円の損失)となった。半導体の供給状況は改善されており、特定の部品に関して供給不足が続いているケースもあるが、先行して手配をかけることで全体の納期に影響を及ぼさない体制を構築している。

製品別では、NVIDIA Corporationが提供するGPU※を利用したリアルタイム画像認識技術と、マルチキャリア対応の高速モバイル通信技術を搭載したNCXX AI BOX「AIX-01NX」を2022年9月末より販売している。同製品は、1台でカメラ・センサーなどから得られた情報をリアルタイムにAI分析し、分析結果をクラウドに連携できる。そのためリテールテック、製造業、セキュリティ、介護見守り、測定・異常監視などの幅広い分野で活用が期待されており、各通信事業者の動作確認済端末認定を進める方針だ。また、AIプラットフォームのエッジ端末認定やAI開発ベンダーとのAIソフトウェア搭載検証、分析やシミュレーションによる効率的なモノ作りから都市レベルの課題解決といった、デジタルツインへの活用も期待されている。

※画像処理やディープラーニングに不可欠な並列演算処理を行う演算装置。


データ通信端末については、5Gデータ端末「UNX-05G」の出荷を2023年3月から開始した。同製品は、マルチキャリアの周波数に対応し、Wi-FiやEthernetを搭載したバッテリーレスのルーター・モデムである。5Gは、LTEと比べて超高速・大容量な通信で多数同時接続、超低遅延を実現するものであり、日本全国に基地局の展開が計画されている。メタバース関連サービスの通信インフラ、ライブメディアストリーミング、エクステンデッドリアリティ(XR)、遠隔医療、建設現場の建機遠隔制御、工場のスマートファクトリ、農業を高度化する自動農場管理、自治体や企業が建物内や敷地内でスポット的かつ柔軟に専用の5G環境を構築・運用できるローカル5Gへの活用など、地域課題解決や地方創生への対象領域の拡大が期待される。

テレマティクスについては、OBDII型データ収集ユニット「GX700NC」が市場を確保している。同製品はNTTドコモ/KDDI/SoftBankの国内の主要なLTE周波数や、準天頂衛星システム「みちびき」など5方式の全球測位衛星システムに対応している。より多くの衛星測位システムを使うことで、ビルや樹木などで視界が狭くなる都市部や山間部でも測位の安定性が向上した。同製品が活用されるクラウド型車両管理・動態管理システムは、法的規制の強化や車両管理業務の効率化、ドライバーの減少・高齢化など市場を取り巻く社会環境の影響により需要が増加傾向にある。排気ガス測定・管理や今後増加するEV車の充電・電費・残量管理など取得項目の追加案件も増加しており、SDGsへの取り組みなどにも活用の範囲が拡がることが期待される。

農業ICT事業では、農作物の生産、加工、販売を行う「6次産業化事業」と、特許農法による「化学的土壌マネジメント」+ICTシステムによる「デジタル管理」のパッケージ販売を行う「フランチャイズ事業」の事業化を推進している。「6次産業化事業」では、スーパーフードとして人気の高いGOLDEN BERRY(食用ほおずき)の生産・販売を行っており、加工品のGOLDEN BERRY アイス及びGOLDEN BERRY フレッシュリキュールも販売している。また、通常は焼却廃棄される葉や茎の残渣について、(公財)岩手生物工学研究センターとの共同研究により、抗炎症作用や抗酸化・抗糖化作用などの様々な成分が含まれることが判明したため、各種の有効な成分エキスを抽出し化粧品等の原材料としての商品開発を進めている。その他、青果販売については特に各種通販サイトで好評であり、2023年5月には全農東北のホームページでも紹介された。

「フランチャイズ事業」では、自社試験圃場での栽培実績をもとに、独自の特許農法(多段式ポット)とICTシステムの提供に加えて、顧客の要望に沿った多種多様な農法・システム・農業関連製品を提供する農業総合コンサルティングサービスを展開している。

(3) 暗号資産・ブロックチェーン事業
売上高は60百万円(前年同期比92.2%減)、営業利益は36百万円(同95.3%減)となった。暗号資産の一部売却を行ったことで、営業利益を計上している。前期は、事業構造改革の一環として不採算事業の譲渡を実施しており、子会社の借入金精算に必要な資金を保有暗号資産の一部売却により確保した。これに伴い、2022年11月期第1四半期より、例年を大きく上回る暗号資産売却益が計上されていた。そのため、2023年11月期第2四半期は、売上高・営業利益ともに前年同期比での減少幅が大きくなっている。同事業は暗号資産市場の動向と資金効率を踏まえた安定的な運用を行っている。引き続きNCXCを利用したサービスの向上、NCXCの流通促進、NCXC保有者の拡大を通じたNCXC経済圏の拡大を目指し、価値向上に向けた取り組みを行っている。また、「NCXC GameFiプラットフォーム」に関しても開発が進捗している。

3. 財務状況と経営指標及びキャッシュ・フローの状況
2023年11月期第2四半期末の資産合計は前期末比137百万円減少し、3,397百万円となった。内訳を見ると、流動資産が同218百万円増加した。受取手形、売掛金及び契約資産が201百万円減少した一方で、現金及び預金が274百万円増加、仕掛品が81百万円増加したことによる。固定資産は同355百万円減少した。これは、投資有価証券が347百万円減少、のれんが48百万円減少したことによる。

負債合計は前期末比41百万円減少し、185百万円となった。主な要因は、支払手形及び買掛金が11百万円増加した一方で、短期借入金、1年内返済予定の長期借入金、長期借入金残高の合計が15百万円減少、未払費用が28百万円減少したことである。

純資産合計は前期末比95百万円減少し、3,211百万円となった。主な要因は、利益剰余金が87百万円増加した一方で、その他有価証券評価差額金が184百万円減少したことである。有利子負債の圧縮と資本の増強を目的に、2022年2月に1,021百万円の借入金及び未払債務の株式化(DES)を実施したことで負債が大幅に減少し、財務基盤の強化が図られている。

経営指標を見ると、安全性を表す指標のうち、流動比率は前期末比237.0ポイント改善し872.2%となった。固定資産には換金性の高い投資有価証券も多くあり、事業継続のための資金繰りについては問題ないと弊社では考えている。利益剰余金の増加や有利子負債の減少により、自己資本比率も1.2ポイント上昇し94.5%となった。加えて、有利子負債比率も前述のデット・エクイティ・スワップの実施により大幅に改善しており、長期的な財務安全性に懸念はないと弊社ではみている。

キャッシュ・フローの状況については、2023年11月期第2四半期末の現金及び現金同等物の残高は782百万円となった。営業活動によるキャッシュ・フローは46百万円の収入となった。これは主に、売上債権の減少201百万円があった一方で、投資有価証券売却益134百万円、棚卸資産の増加80百万円、暗号資産の増加50百万円があったことによる。投資活動によるキャッシュ・フローは242百万円の収入となった。これは主に、投資有価証券の売却による収入276百万円があった一方で、有形固定資産の取得による支出46百万円があったことによる。財務活動によるキャッシュ・フローは15百万円の支出となった。これは主に、長期借入金の返済による支出8百万円があったことによる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)



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