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サンフロ不動産 Research Memo(5):既存不動産活用と流通への取り組み通し顧客の資産価値最大化実現(3)

注目トピックス 日本株
*11:05JST サンフロ不動産 Research Memo(5):既存不動産活用と流通への取り組み通し顧客の資産価値最大化実現(3)
■サンフロンティア不動産<8934>の事業概要

5. 同社グループの強み
同社グループの強みは、不動産再生事業における内製化したワンストップサービスの提供力が挙げられる。ビルの仕入から、再生・活用企画、建設工事、テナント誘致、管理、販売、販売後のビル経営に至るまでを一貫して内製化し、高い付加価値を創出している。この一連のワンストップサービスは、不動産サービス事業の各部門(リーシングマネジメント、ビル管理・メンテナンス、資産コンサルティング、滞納賃料保証、貸会議室)が協業することで実現している。こうした協業を行えているのは、同社グループがフィロソフィ経営を実践するなかで最上位概念であるクレド「利他」の精神が、従業員同士をしっかりと結び付けているためである。

管理会計の手法においては、「アメーバ経営」システムを導入している。これは、グループの事業を5人〜10人の小集団(アメーバ)に分類し、アメーバ毎に時間当たりの採算の最大化を図るものである(時間当たり採算=売上粗利÷労働時間)。各アメーバにはリーダーが存在し、期初に設定した年間予算・月次予算(売上粗利と時間当たりアメーバ)に対する実績の進捗管理を行う。アメーバ経営による管理会計手法は、市場に直結した部門別採算制度の確立のみならず、全員参加による従業員の採算意識向上や、経営者人財の育成の場にもなるというメリットがある。小集団であることにより意思決定のスピードアップが図られ、環境変化による市場ニーズの変化などにも柔軟に対応することが可能となる、効果的な経営手法であると弊社では考える。

6. 事業環境
マクロ的な事業環境として、世界経済では中国の成長鈍化、地政学リスク、金融引き締めの影響による減速が懸念されている。国際通貨基金(IMF)は中国の成長予測を下げ、2024年の世界経済実質成長率を0.1ptの下方修正となる2.9%とした。米連邦準備制度理事会(FRB)・欧州中央銀行(ECB)は共に利上げを見送りとしており、インフレ抑制を目的とした利上げ政策は転機を迎えている。日本経済においては、経済正常化による回復が期待される中、円安及び物価上昇の影響が高まっている。新型コロナウイルス感染症の5類への移行後、行動制限の緩和や社会経済活動の活性化に加え、インバウンド需要の回復が顕著である。一方、日本銀行は長短金利1.0%超を容認しており、長期金利が上昇するものの、各国との金利差により円安が常態化している。

同社グループを取り巻く事業環境として、都心オフィスビル市場では、出社とテレワークを併用するハイブリッドな働き方が定着しつつも、オフィスへの回帰が進んでいる。新築ビル竣工の増加も影響し、都心オフィスの平均空室率は横ばいであり、平均賃料は緩やかな低下が継続している。この変化に柔軟に対応し、オフィススペースの有効活用や新たなサービスの提供に取り組むことが重要であると弊社では考えている。また、円安のため海外投資家による日本の不動産への投資意欲は強いものの、金融引き締めによる金利上昇には注意が必要だ。ホテル・観光市場では、国内旅行の需要回復や円安の影響によるインバウンド需要の一層の高まりを受け、稼働率・客室単価は上昇中である。これに伴い、急激な旅行需要回復のなかで、人手不足やオーバーツーリズムへの対応も求められている。

金融引き締め局面における金利動向は、不動産市場全体に大きな影響を与える要素である。金利上昇による資金調達コストの上昇や投資意欲の減退などが懸念されるため、金利動向に敏感に対応し適切なリスク管理を行うことが重要と言える。このような事業環境のなか、同社グループは顧客ニーズに対する高い適応力により、柔軟なビジネス戦略を展開している。金利動向の変化やコロナ禍の影響を適切に管理し、持続可能な事業ポートフォリオの構築がされていると弊社では見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)



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