日本マイクロソフト・富士通、国立がん研究センターが治験業務にリモートSDVシステムを導入
[17/04/04]
TOKYO, Apr 4, 2017 - (JCN Newswire) - 国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:中釜 斉、所在地:東京都中央区、略称:国がん)、東病院(院長:大津 敦)は、治験業務において効率的かつ信頼性の高いリモートSDV(Source Data Verification)システム(注1)を、日本マイクロソフト株式会社(代表取締役 社長:平野拓也、本社:東京都港区、以下 日本マイクロソフト)と富士通株式会社(代表取締役社長:田中達也、本社:東京都港区、以下 富士通)の技術支援によりマイクロソフトのパブリッククラウドサービス(注2)を基盤にシステムを構築し、治験依頼者である製薬企業のSDVに対して当該システムの導入を開始します。これにより、治験依頼者によるタイムリーなSDVが可能となり、モニタリングの効率化や医薬品開発コスト削減、医薬品開発促進につながることが期待されます。
今回導入したリモートSDVシステムのポイント
- 遠隔から閲覧する資料を原資料として取扱いが可能になり、原資料について被験者情報がすべて閲覧可能
- インターネット環境が整備された場所であれば、専用の部屋を整備せずとも利用が可能(企業内設置場所については、東病院の定める条件があります)
- SDVにおける様々な規制要件やガイドラインに合致したシステムを構築、信頼性を確保
背景
治験依頼者は、収集した被験者に関するデータをまとめた症例報告書や医療機関における記録との整合性の検証作業を行い、データが正確であることを確認するSDVを行っています。SDVは、原資料の持ち出しが禁じられているため、従来は医療機関内でSDVを行う必要があり、医療機関内にSDV専用室の設置・管理などを行う体制整備が必要でした。東病院では年間100を超える治験を請け負っており、14室のSDV専用室は、常に治験依頼者により埋まっている状態です。一方、治験依頼者においては、医療機関へ訪問するための交通費や宿泊費などのコスト、日中の限られた時間帯での作業による時間調整の負担などがかかるため、SDVの効率的運用が求められていました。
システムの特徴
遠隔でSDVを行えるリモートSDVは、治験実施医療機関に赴き直接原資料を閲覧するSDVと比較して、専用の閲覧スペースの不要化やモニタリングの効率化、費用の削減などのメリットがある一方、閲覧資料が本当に原資料であるかどうかの真正性確保やアクセス・セキュリティ確保などが問題として挙げられます。そこで今回、真正性やセキュリティに配慮し、院内の原資料を遠隔閲覧できるリモートSDVシステムを構築しました。
東病院では、2013年に富士通の電子カルテシステムを導入し、翌2014年に電子カルテを含む治験における原資料を保管・管理するための治験原データ管理システムを構築しました。今回、リモートSDVシステムと治験原データ管理システムを連携することにより、真正性が確保された原資料を外部から直接閲覧することが可能であり、医療機関を訪問して閲覧できるSDVと同じデータが表示されます。また、リアルタイムに原資料が治験原データ管理システムに反映されるため、閲覧内容に時差が生じることもありません。開発はコストや事業継続性を意識して、日本マイクロソフトが提供するパブリッククラウドサービス上に治験原データ管理システムにアクセスし原資料を閲覧するためのリモートSDVシステムを構築しました。パブリッククラウドを利用することで、サーバー設置に係る費用を大幅に削減できるとともに、スペックをフレキシブルに変更できることで、利用者の増減に際し問題なく対応可能です。
今後の展望
本システム構築について、東病院 臨床研究支援部門・研究実施管理部長の吉野孝之は次のように述べています。
「治験のグローバル化が一般的となっている現在、本リモートSDVシステムは海外からもアクセス可能であり、さらなる治験のグローバル化を促進するうえで重要な一歩です。リモートSDVシステムの活用により治験受託数の増加や開発スピードの短縮につながり、がん患者さんの福音となると信じています。さらにリモートSDVシステムを導入したことにより、モニタリングの効率化やコスト削減が達成できたのかは今後定期的に検証していく必要があります。」
本リモートSDVシステムを機に東病院における病院情報システムはグローバルスタンダードを見据え、今後は、CDISC標準(注3)など海外標準の採用も視野に入れたシステム開発を行い、治験に係る必須書類についてドキュメントの電子化についても、検討して行く予定です。
本リリースの詳細は下記URLをご参照ください。
http://pr.fujitsu.com/jp/news/2017/04/4-1.html
注釈
注1 SDV:治験依頼者が行う資料確認の業務。医療機関による様々な治験結果は、医療機関の事務局によって症例報告書に転記され、治験依頼者に提出される。治験依頼者は、検査数値データや治験を行った医師が記入したカルテなどの原資料と症例報告書を実際に照合し、転記ミスなどが発生していないかを確認することで、治験結果の信頼性を確保する。
注2 パブリッククラウドサービス:クラウドプロバイダーなどが提供するクラウド環境を、企業や組織をはじめとした多数のユーザーで共有しながら使用するサービス。パブリッククラウドを提供する事業者が、大規模なデータセンターを持ち、大量のサーバーを仮想化してひとつのクラウド環境を作る。
注3 CDISC標準:CDISC(Clinical Data Interchange Standards Consortium)とは臨床研究や治験を実施する際に利用できる国際的なデータ取得・交換・申請のための標準を定めている非営利団体。CDISCにて策定される標準(CDISC標準)を導入することで臨床試験を効率的に行うことができる。また、平成28年からは新薬の製造販売申請のデータについてはCDISC標準に準拠することが求められている(平成32年3月末まで経過処置)。東病院では、臨床研究・医師主導治験におけるCDISC標準の導入を積極的に行っている。
概要:富士通株式会社
詳細は http://jp.fujitsu.com/ をご覧ください。
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今回導入したリモートSDVシステムのポイント
- 遠隔から閲覧する資料を原資料として取扱いが可能になり、原資料について被験者情報がすべて閲覧可能
- インターネット環境が整備された場所であれば、専用の部屋を整備せずとも利用が可能(企業内設置場所については、東病院の定める条件があります)
- SDVにおける様々な規制要件やガイドラインに合致したシステムを構築、信頼性を確保
背景
治験依頼者は、収集した被験者に関するデータをまとめた症例報告書や医療機関における記録との整合性の検証作業を行い、データが正確であることを確認するSDVを行っています。SDVは、原資料の持ち出しが禁じられているため、従来は医療機関内でSDVを行う必要があり、医療機関内にSDV専用室の設置・管理などを行う体制整備が必要でした。東病院では年間100を超える治験を請け負っており、14室のSDV専用室は、常に治験依頼者により埋まっている状態です。一方、治験依頼者においては、医療機関へ訪問するための交通費や宿泊費などのコスト、日中の限られた時間帯での作業による時間調整の負担などがかかるため、SDVの効率的運用が求められていました。
システムの特徴
遠隔でSDVを行えるリモートSDVは、治験実施医療機関に赴き直接原資料を閲覧するSDVと比較して、専用の閲覧スペースの不要化やモニタリングの効率化、費用の削減などのメリットがある一方、閲覧資料が本当に原資料であるかどうかの真正性確保やアクセス・セキュリティ確保などが問題として挙げられます。そこで今回、真正性やセキュリティに配慮し、院内の原資料を遠隔閲覧できるリモートSDVシステムを構築しました。
東病院では、2013年に富士通の電子カルテシステムを導入し、翌2014年に電子カルテを含む治験における原資料を保管・管理するための治験原データ管理システムを構築しました。今回、リモートSDVシステムと治験原データ管理システムを連携することにより、真正性が確保された原資料を外部から直接閲覧することが可能であり、医療機関を訪問して閲覧できるSDVと同じデータが表示されます。また、リアルタイムに原資料が治験原データ管理システムに反映されるため、閲覧内容に時差が生じることもありません。開発はコストや事業継続性を意識して、日本マイクロソフトが提供するパブリッククラウドサービス上に治験原データ管理システムにアクセスし原資料を閲覧するためのリモートSDVシステムを構築しました。パブリッククラウドを利用することで、サーバー設置に係る費用を大幅に削減できるとともに、スペックをフレキシブルに変更できることで、利用者の増減に際し問題なく対応可能です。
今後の展望
本システム構築について、東病院 臨床研究支援部門・研究実施管理部長の吉野孝之は次のように述べています。
「治験のグローバル化が一般的となっている現在、本リモートSDVシステムは海外からもアクセス可能であり、さらなる治験のグローバル化を促進するうえで重要な一歩です。リモートSDVシステムの活用により治験受託数の増加や開発スピードの短縮につながり、がん患者さんの福音となると信じています。さらにリモートSDVシステムを導入したことにより、モニタリングの効率化やコスト削減が達成できたのかは今後定期的に検証していく必要があります。」
本リモートSDVシステムを機に東病院における病院情報システムはグローバルスタンダードを見据え、今後は、CDISC標準(注3)など海外標準の採用も視野に入れたシステム開発を行い、治験に係る必須書類についてドキュメントの電子化についても、検討して行く予定です。
本リリースの詳細は下記URLをご参照ください。
http://pr.fujitsu.com/jp/news/2017/04/4-1.html
注釈
注1 SDV:治験依頼者が行う資料確認の業務。医療機関による様々な治験結果は、医療機関の事務局によって症例報告書に転記され、治験依頼者に提出される。治験依頼者は、検査数値データや治験を行った医師が記入したカルテなどの原資料と症例報告書を実際に照合し、転記ミスなどが発生していないかを確認することで、治験結果の信頼性を確保する。
注2 パブリッククラウドサービス:クラウドプロバイダーなどが提供するクラウド環境を、企業や組織をはじめとした多数のユーザーで共有しながら使用するサービス。パブリッククラウドを提供する事業者が、大規模なデータセンターを持ち、大量のサーバーを仮想化してひとつのクラウド環境を作る。
注3 CDISC標準:CDISC(Clinical Data Interchange Standards Consortium)とは臨床研究や治験を実施する際に利用できる国際的なデータ取得・交換・申請のための標準を定めている非営利団体。CDISCにて策定される標準(CDISC標準)を導入することで臨床試験を効率的に行うことができる。また、平成28年からは新薬の製造販売申請のデータについてはCDISC標準に準拠することが求められている(平成32年3月末まで経過処置)。東病院では、臨床研究・医師主導治験におけるCDISC標準の導入を積極的に行っている。
概要:富士通株式会社
詳細は http://jp.fujitsu.com/ をご覧ください。
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