農業経営の実績評価・改善計画を支援するシステム「CAPSS」を公開
[14/07/14]
提供元:共同通信PRワイヤー
提供元:共同通信PRワイヤー
平成26年7月14日
農研機構
農業経営の実績評価・改善計画を支援するシステム「CAPSS」を公開
■ ポイント
・行政・関連団体職員が新規就農・営農支援活動において、経営実績がない新規就農者に対しても、システム内の「標準値データベース」を利用することで、営農計画の策定や、経営実績の事後評価を行うことができます。
・収益性の観点から所得最大化を達成しうる作付計画を策定し、その財務安全性まで事前評価を行うことができます。
■ 概要
1. 農研機構は、経営実績の分析から改善計画の策定までの活動を支援するシステム「CAPSS;Check-Act-Plan Support System」を構築し、Webサイト「農研機構|経営管理システム(http://fmrp.dc.affrc.go.jp/)」で公開します。
2. システム内に「標準値データベース」を備えており、経営実績のない新規就農者への営農計画策定から、経営実績の評価まで行うことができます。
3. 収益性の観点から所得を最大化しうる作付計画を策定し、その財務安全性についても事前に評価することができます。
4. 農業経営におけるPDCA(新規就農計画の検討、経営実績の分析、経営改善案の検討、改善計画の策定)サイクル 1) を一貫して行うことで、行政・関連団体職員の新規就農・営農支援活動を総合的にサポートします。
予算:運営費交付金
■ 研究の背景
新規就農者等に対する経営支援担当者は、その経営発展のために、マネジメントサイクル 1) に即した支援が求められています。具体的には、新規就農計画の検討、就農後の経営実績の分析、実績評価を踏まえた改善案の検討と改善計画の策定などの様々な場面で、新規就農者等との意見交換を踏まえながら経営管理を支援することが必要になります。そのため、経営診断から改善計画の策定までの一連の経営管理を総合的に支援できるツールが期待されていました。
■ 研究の経緯
農研機構は、これまでに、営農計画の策定を支援する「営農計画策定支援システム Z-BFM」と、経営診断を支援する「Web版農業経営診断サービス」を開発してきました。これらを踏まえてマネジメントサイクルに即した支援システムを開発するには、二つのツールの相乗効果を図ることが必要であり、それによって効果的に経営管理を支援できることになると考えました。そこで、経営実績のない新規就農者でも「Z-BFM」で営農計画を作成しうる「標準値データベース」と、作成した営農計画の財務安全性を事前に評価できる「財務安全性事前評価ツール」を新たに開発し、これらを統合した「CAPSS」を構築しました。
■ 研究・普及の内容・意義
1. 「CAPSS」を構成するツールは、Excelアドインツール 2) である(1)「Z-BFM」、(2)「財務計画モジュール」、(3)「経営指標管理支援プログラム」と、Webアプリケーション 3) である(4)「Web版農業経営診断サービス」、(5)「標準値データ取得サービス」に加え、Webデータベース 4) である(6)「標準値データベース」です(図1)。これらを実績評価や改善計画で連携利用することで、それらの活動を支援します。
2. 新規就農者への経営支援を考えた場合、「CAPSS」は、以下のような利用が想定できます(図2)。
(1) 新規就農者は、就農前に新規就農計画を策定します。この場面では、土地や労働力の保有量を考慮した実行可能性の高い新規就農計画を策定することができ、さらに、策定した営農計画を組み込んだ計画財務諸表を作成することができます(図3)。作成した計画財務諸表は、標準値データベース内の各種財務指標 5) (たとえば、売上高支払利息率、自己資本比率、等)と比較することで、その財務安全性を事前に評価することができます(表1)。
(2) 経営実績の分析では、類似の経営類型における標準値と比較分析することで、自らの経営活動の課題が摘出できます(たとえば、フリーキャッシュフローが標準値よりも極端に少ない場合は、資金繰りの課題がある)。また、計画と実績の財務諸表等の比較分析により、たとえば、売上高が計画と実績でかい離している場合、その原因が販売価格なのか、それとも生産量なのかといいった要因ごとに分解して検討することで、改善すべき課題を明確にすることができます。
(3) 改善案の検討から計画の策定では、検討した改善案が経営に与える影響を事前にシミュレートできます。ここでは営農計画案の比較表示機能を用いることで、複数の改善案から妥当な案を検討できます。
3. 「CAPSS」の「標準値データベース」は、財務指標75類型区分、技術指標 6) 71種類、経営指標要素2,151種類を内蔵しています。これらの標準値は、「CAPSS」の各ツールで活用する一方で、任意に標準値データを取得することもできます。これにより「標準値データベース」内のデータ自体が、利用者の目的に応じて活用することが期待できます。
■ 今後の予定・期待
「CAPSS」により、新規参入者等への経営支援がより効果的に図られることで、それらの持続的な経営発展に貢献することが期待されます。また、今後は、利用者の意見を踏まえた改良を図ることで、より普及性の高いシステムへ発展させる予定です。
■ 用語の解説
1)PDCAサイクル/マネジメントサイクル
経営が持続的に発展していくためには、目標を達成するための計画を策定し、実際の経営活動を計画に照らして評価した上で、経営改善を図るというマネジメントサイクルに即した経営管理が重要になります。PDCAサイクルは、このマネジメントサイクルの代表的な考え方の一つであり、マネジメントサイクルを計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Act)の四つの過程で構成されるものととらえ、最後の過程である改善を次期の計画へつなげることで持続的な経営発展を進めるための経営管理手法です。
2)Excelアドインツール
マイクロソフト社のOffice Excelで利用することを前提に開発されたアプリケーションソフトウェアです。利用するためには、マクロ機能が利用できるOffice Excelが必要になります。
3)Webアプリケーション
インターネットなどのネットワーク上で利用するアプリケーションソフトウェアです。利用するためには、インターネットへの接続環境と、対応するWebブラウザや専用のクライアントソフトウェアが必要になります。
4)Webデータベース
インターネットなどのネットワーク上で利用するデータベースです。利用するためには、インターネットへの接続環境と、そのデータベースへアクセスするためのソフトウェアが必要になります。
5)財務指標
損益計算書や貸借対照表などの財務諸表を用いて算出される経営分析の指標です。
6)技術指標
農業生産技術に関わる指標です。「標準値データベース」では、主に10a当たりの収量、労働時間、粗収益、費用と、単位生産量(米ならば60kg)当たりの粗収益、費用などを提供します。
農研機構
農業経営の実績評価・改善計画を支援するシステム「CAPSS」を公開
■ ポイント
・行政・関連団体職員が新規就農・営農支援活動において、経営実績がない新規就農者に対しても、システム内の「標準値データベース」を利用することで、営農計画の策定や、経営実績の事後評価を行うことができます。
・収益性の観点から所得最大化を達成しうる作付計画を策定し、その財務安全性まで事前評価を行うことができます。
■ 概要
1. 農研機構は、経営実績の分析から改善計画の策定までの活動を支援するシステム「CAPSS;Check-Act-Plan Support System」を構築し、Webサイト「農研機構|経営管理システム(http://fmrp.dc.affrc.go.jp/)」で公開します。
2. システム内に「標準値データベース」を備えており、経営実績のない新規就農者への営農計画策定から、経営実績の評価まで行うことができます。
3. 収益性の観点から所得を最大化しうる作付計画を策定し、その財務安全性についても事前に評価することができます。
4. 農業経営におけるPDCA(新規就農計画の検討、経営実績の分析、経営改善案の検討、改善計画の策定)サイクル 1) を一貫して行うことで、行政・関連団体職員の新規就農・営農支援活動を総合的にサポートします。
予算:運営費交付金
■ 研究の背景
新規就農者等に対する経営支援担当者は、その経営発展のために、マネジメントサイクル 1) に即した支援が求められています。具体的には、新規就農計画の検討、就農後の経営実績の分析、実績評価を踏まえた改善案の検討と改善計画の策定などの様々な場面で、新規就農者等との意見交換を踏まえながら経営管理を支援することが必要になります。そのため、経営診断から改善計画の策定までの一連の経営管理を総合的に支援できるツールが期待されていました。
■ 研究の経緯
農研機構は、これまでに、営農計画の策定を支援する「営農計画策定支援システム Z-BFM」と、経営診断を支援する「Web版農業経営診断サービス」を開発してきました。これらを踏まえてマネジメントサイクルに即した支援システムを開発するには、二つのツールの相乗効果を図ることが必要であり、それによって効果的に経営管理を支援できることになると考えました。そこで、経営実績のない新規就農者でも「Z-BFM」で営農計画を作成しうる「標準値データベース」と、作成した営農計画の財務安全性を事前に評価できる「財務安全性事前評価ツール」を新たに開発し、これらを統合した「CAPSS」を構築しました。
■ 研究・普及の内容・意義
1. 「CAPSS」を構成するツールは、Excelアドインツール 2) である(1)「Z-BFM」、(2)「財務計画モジュール」、(3)「経営指標管理支援プログラム」と、Webアプリケーション 3) である(4)「Web版農業経営診断サービス」、(5)「標準値データ取得サービス」に加え、Webデータベース 4) である(6)「標準値データベース」です(図1)。これらを実績評価や改善計画で連携利用することで、それらの活動を支援します。
2. 新規就農者への経営支援を考えた場合、「CAPSS」は、以下のような利用が想定できます(図2)。
(1) 新規就農者は、就農前に新規就農計画を策定します。この場面では、土地や労働力の保有量を考慮した実行可能性の高い新規就農計画を策定することができ、さらに、策定した営農計画を組み込んだ計画財務諸表を作成することができます(図3)。作成した計画財務諸表は、標準値データベース内の各種財務指標 5) (たとえば、売上高支払利息率、自己資本比率、等)と比較することで、その財務安全性を事前に評価することができます(表1)。
(2) 経営実績の分析では、類似の経営類型における標準値と比較分析することで、自らの経営活動の課題が摘出できます(たとえば、フリーキャッシュフローが標準値よりも極端に少ない場合は、資金繰りの課題がある)。また、計画と実績の財務諸表等の比較分析により、たとえば、売上高が計画と実績でかい離している場合、その原因が販売価格なのか、それとも生産量なのかといいった要因ごとに分解して検討することで、改善すべき課題を明確にすることができます。
(3) 改善案の検討から計画の策定では、検討した改善案が経営に与える影響を事前にシミュレートできます。ここでは営農計画案の比較表示機能を用いることで、複数の改善案から妥当な案を検討できます。
3. 「CAPSS」の「標準値データベース」は、財務指標75類型区分、技術指標 6) 71種類、経営指標要素2,151種類を内蔵しています。これらの標準値は、「CAPSS」の各ツールで活用する一方で、任意に標準値データを取得することもできます。これにより「標準値データベース」内のデータ自体が、利用者の目的に応じて活用することが期待できます。
■ 今後の予定・期待
「CAPSS」により、新規参入者等への経営支援がより効果的に図られることで、それらの持続的な経営発展に貢献することが期待されます。また、今後は、利用者の意見を踏まえた改良を図ることで、より普及性の高いシステムへ発展させる予定です。
■ 用語の解説
1)PDCAサイクル/マネジメントサイクル
経営が持続的に発展していくためには、目標を達成するための計画を策定し、実際の経営活動を計画に照らして評価した上で、経営改善を図るというマネジメントサイクルに即した経営管理が重要になります。PDCAサイクルは、このマネジメントサイクルの代表的な考え方の一つであり、マネジメントサイクルを計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Act)の四つの過程で構成されるものととらえ、最後の過程である改善を次期の計画へつなげることで持続的な経営発展を進めるための経営管理手法です。
2)Excelアドインツール
マイクロソフト社のOffice Excelで利用することを前提に開発されたアプリケーションソフトウェアです。利用するためには、マクロ機能が利用できるOffice Excelが必要になります。
3)Webアプリケーション
インターネットなどのネットワーク上で利用するアプリケーションソフトウェアです。利用するためには、インターネットへの接続環境と、対応するWebブラウザや専用のクライアントソフトウェアが必要になります。
4)Webデータベース
インターネットなどのネットワーク上で利用するデータベースです。利用するためには、インターネットへの接続環境と、そのデータベースへアクセスするためのソフトウェアが必要になります。
5)財務指標
損益計算書や貸借対照表などの財務諸表を用いて算出される経営分析の指標です。
6)技術指標
農業生産技術に関わる指標です。「標準値データベース」では、主に10a当たりの収量、労働時間、粗収益、費用と、単位生産量(米ならば60kg)当たりの粗収益、費用などを提供します。