ランナー必読!マラソンレースを楽しく完走するための予防と対策
[15/12/03]
提供元:共同通信PRワイヤー
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20151203
教えて!「かくれ脱水」委員会
日医ジョガーズ 中村集医師とマラソンランナー 徳本一善選手が指南
ランナー必読!マラソンレースを楽しく完走するための予防と対策
近年のジョギングブームは、もはや成人のライフスタイルのひとつとして定着した感があります。それにともない、市民ランナーが出場可能なマラソン大会が増え、各地でレースを目指すランナーも急増してきました。かくれ脱水JOURNALでは、秋冬の本格的なマラソンシーズンに、日本を代表するトップランナーであり、駿河台大学駅伝部の指導者としても活躍する徳本一善選手と、日医ジョガーズの中村集先生との対談を企画し、マラソンレースを楽しく完走するための予防と対策について伺いました。
中村集(なかむら・しゅう)
集クリニック院長・医学博士・NPO法人日医ジョガーズ会員
徳本一善(とくもと・かずよし)
駿河台大学駅伝部監督・(株)モンテローザ所属
●マラソンのカラダへのリスクとは?
「マラソンは有酸素運動であり健康に良いとされていますが、レースとなるとさまざまなリスクはあります」と、中村先生は語ります。「実際、マラソンがブームとなるにつれ、レース中、レース後に倒れたり、搬送されるランナーの数は増えています。確かにマラソンはカラダに良い理由は多々ありますが、心臓や肺をはじめ、いろいろな臓器に大きな負担がかかるのです。具体的には、カラダの水分や塩分の不足から脱水症(夏場は熱中症にもつながる)、過度の負荷がかかるために膝や腰、かかとなどの関節、筋肉・じん帯の疾患、そして心臓への負担からの不整脈や心疾患、寒い季節にはカラダが冷えて起こることの多い低体温症などがあげられます。とくに脱水症は、炎天下でのレースでは多くのランナーがなってしまいますし、秋冬のレースでも起きるものです。ランニング時には体温が上昇し、カラダは汗をかくことで気化熱をうばって上がった体温を元に戻そうと調整するのですが、汗をかいて失われた水分・電解質を適切に補給しないと脱水症に陥ります。気温や個人差はありますが、筋肉の痙攣、疲労や倦怠感、頭痛、めまい、吐き気などが現れ、重度の脱水症となれば意識を失い、場合によっては死に至ることもあります」
●脱水リスクと予防法について
徳本選手は、「走ることは、脱水へのリスクが高いということは強く自覚しています」と話します。「ただ注意していても、給水量が足りない学生が病院に搬送されたことがありました。彼らには共通の原因があるんです。練習中に給水量が少ないとと、その朝に食事などから水分を摂っていないことでした。普段から、夜寝る前と朝起きたときはしっかり水分を摂れと指導するのです。練習前やレース前には経口補水液を飲むことも勧めています」自身の予防法については、「僕は、レース前の夜に500mlのペットボトルを2回に分けて飲みます。レース当日の朝も経口補水液を飲みますね。実は学生時代から脱水症状になったことは一回もないんです。当時は、スポーツドリンクを糖分が多いので水で2倍程度に薄めてでしたが、事前に飲んでおくことが良かったと思っているんです」とのこと。中村先生によると「走る前に糖質の少なく吸収のいい経口補水液を摂るのはいいですね。250mlを夜2回に分けて摂ったうえで朝飲むのは200ー250mlくらいかな」とのこと。また、「レース前、レース中、レース後の給水プランを立てるといいと思います。事前にレーススピードで1時間走をおこない、前後の体重を測定してその体重差すなわち体重減少量が1時間あたりの失われる水分量の目安になります。筋肉・じん帯・関節の損傷リスクを減らすためには走る以外に筋力トレーニングなどをおこなって強化すること。それに病院で事前に循環器系の専門医のチェックを受けておくこともお勧めします」とアドバイスします。
●適切な水分補給について
水分補給時の注意点について、中村先生は以下のように話しています。「炎天下や気温が上がった状態だけでなく、マラソンは脱水を引き起こしやすいですが、中には水分の摂り過ぎで低ナトリウム血症(いわゆる水中毒)になるランナーも多くみられ,重傷者が倒れてドクターブースへ運ばれてきます。これは悪化すると死に至ることもあります。厄介なことに低ナトリウム血症は、症状が脱水症と似ているために、気分が悪い、吐き気、おう吐、顔面蒼白などがあると、さらに水分を摂ってしまうという悪循環に陥ることが散見されます。ランニング学会では、いま『のどの渇き』に応じた水分補給を推奨しています。どのくらい飲めばいいか?数値で判断するより、そのときの『のどの渇き』やコンディションによって判断するということです。それでも、目安は必要だと考え、一応数値化して給水量の目安にしています」とのこと。
また、ゴール後の注意点として「ゴール後も、より有効な水分補給として経口補水液が良いですが、レースでダメージを受けた筋肉を修復するために、できるだけ早いタイミング(できれば30分以内)にアミノ酸(BCAAを含んだもの)を摂ると筋肉痛が少なくて済みます。また、糖質、乳タンパク質(ヨーグルト、バナナと牛乳など)は、筋肉量や血液量を増やすといわれていますからお勧めします」と話します。
●マラソンレースの楽しみ方、参加する際の心得
「まったく走っていない人は、いきなり走らずにウォーキングから」中村先生は続けます。「週に3回30ー40分程度の早歩きからはじめて、1時間くらいまで増やしていきましょう。もちろん、いきなりフルマラソンの大会にエントリーするのは避けて、5ー10kmの部に出て、次にハーフ。ここまではだいたい楽しくやれます(笑)。そして、ハーフで自信がついたらフルに挑戦して欲しい。フルを完走するためには、1時間程度のランニングを週に3回、数ヶ月のトレーニング期間は必要だと思います。楽しみ方は人それぞれでしょうが、レースウエアやランニング仲間との交流、レース開催地近くの名所を巡ったり、地元の名産品を味わったりするのも楽しみとなりますよ。もちろん、シリアスに自己の記録向上を楽しまれるのもよいでしょう」
徳本選手は「秋の楽しみかたとしては景色のいいレースを選んで走るというのもいいですね。東京マラソンのように、いつもは走れない公道のような特別な場所を走るという楽しみを上げる方々もいます。中村先生がいわれるように、レースに参加すると、いろんな人と知り合えますし、知り合った方から走り方の指導を受けたりすることがありますから、自分がレース参加で進歩していくことを楽しめますよ。」と話します。
また、脱水への対策については「重要なことは何かが起きてからではなく、起きる前に対処して欲しい。つまり予防を大切に考えて欲しいということです。今日お話ししているようなことを知識として覚え、事前に対処しておけば、もっと楽しいランニングライフが送れると思います。もちろん完走や、よりよい記録にも繋がります」とアドバイスしています。
中村先生からも「マラソンは健康にいいことは間違いないですがカラダへの悪影響もあることを理解し、それに対して準備をして臨んで欲しい。ぜひ、個性豊かな各地のレースに参加し、ランナー同士のコミュニケーションを持って、大会を楽しんでください。レースに参加するほど、人生が面白く活発になると思います」とメッセージをいただきました。これからフルマラソンに挑戦しようと考えている方も、タイムを縮めたいという方も、脱水などのリスクを理解し、事前の対処を心がけることが重要です。
教えて「かくれ脱水」委員会のウェブサイト「かくれ脱水 JOURNAL」にて公開しています。
http://www.kakuredassui.jp/column15
教えて!「かくれ脱水」委員会
日医ジョガーズ 中村集医師とマラソンランナー 徳本一善選手が指南
ランナー必読!マラソンレースを楽しく完走するための予防と対策
近年のジョギングブームは、もはや成人のライフスタイルのひとつとして定着した感があります。それにともない、市民ランナーが出場可能なマラソン大会が増え、各地でレースを目指すランナーも急増してきました。かくれ脱水JOURNALでは、秋冬の本格的なマラソンシーズンに、日本を代表するトップランナーであり、駿河台大学駅伝部の指導者としても活躍する徳本一善選手と、日医ジョガーズの中村集先生との対談を企画し、マラソンレースを楽しく完走するための予防と対策について伺いました。
中村集(なかむら・しゅう)
集クリニック院長・医学博士・NPO法人日医ジョガーズ会員
徳本一善(とくもと・かずよし)
駿河台大学駅伝部監督・(株)モンテローザ所属
●マラソンのカラダへのリスクとは?
「マラソンは有酸素運動であり健康に良いとされていますが、レースとなるとさまざまなリスクはあります」と、中村先生は語ります。「実際、マラソンがブームとなるにつれ、レース中、レース後に倒れたり、搬送されるランナーの数は増えています。確かにマラソンはカラダに良い理由は多々ありますが、心臓や肺をはじめ、いろいろな臓器に大きな負担がかかるのです。具体的には、カラダの水分や塩分の不足から脱水症(夏場は熱中症にもつながる)、過度の負荷がかかるために膝や腰、かかとなどの関節、筋肉・じん帯の疾患、そして心臓への負担からの不整脈や心疾患、寒い季節にはカラダが冷えて起こることの多い低体温症などがあげられます。とくに脱水症は、炎天下でのレースでは多くのランナーがなってしまいますし、秋冬のレースでも起きるものです。ランニング時には体温が上昇し、カラダは汗をかくことで気化熱をうばって上がった体温を元に戻そうと調整するのですが、汗をかいて失われた水分・電解質を適切に補給しないと脱水症に陥ります。気温や個人差はありますが、筋肉の痙攣、疲労や倦怠感、頭痛、めまい、吐き気などが現れ、重度の脱水症となれば意識を失い、場合によっては死に至ることもあります」
●脱水リスクと予防法について
徳本選手は、「走ることは、脱水へのリスクが高いということは強く自覚しています」と話します。「ただ注意していても、給水量が足りない学生が病院に搬送されたことがありました。彼らには共通の原因があるんです。練習中に給水量が少ないとと、その朝に食事などから水分を摂っていないことでした。普段から、夜寝る前と朝起きたときはしっかり水分を摂れと指導するのです。練習前やレース前には経口補水液を飲むことも勧めています」自身の予防法については、「僕は、レース前の夜に500mlのペットボトルを2回に分けて飲みます。レース当日の朝も経口補水液を飲みますね。実は学生時代から脱水症状になったことは一回もないんです。当時は、スポーツドリンクを糖分が多いので水で2倍程度に薄めてでしたが、事前に飲んでおくことが良かったと思っているんです」とのこと。中村先生によると「走る前に糖質の少なく吸収のいい経口補水液を摂るのはいいですね。250mlを夜2回に分けて摂ったうえで朝飲むのは200ー250mlくらいかな」とのこと。また、「レース前、レース中、レース後の給水プランを立てるといいと思います。事前にレーススピードで1時間走をおこない、前後の体重を測定してその体重差すなわち体重減少量が1時間あたりの失われる水分量の目安になります。筋肉・じん帯・関節の損傷リスクを減らすためには走る以外に筋力トレーニングなどをおこなって強化すること。それに病院で事前に循環器系の専門医のチェックを受けておくこともお勧めします」とアドバイスします。
●適切な水分補給について
水分補給時の注意点について、中村先生は以下のように話しています。「炎天下や気温が上がった状態だけでなく、マラソンは脱水を引き起こしやすいですが、中には水分の摂り過ぎで低ナトリウム血症(いわゆる水中毒)になるランナーも多くみられ,重傷者が倒れてドクターブースへ運ばれてきます。これは悪化すると死に至ることもあります。厄介なことに低ナトリウム血症は、症状が脱水症と似ているために、気分が悪い、吐き気、おう吐、顔面蒼白などがあると、さらに水分を摂ってしまうという悪循環に陥ることが散見されます。ランニング学会では、いま『のどの渇き』に応じた水分補給を推奨しています。どのくらい飲めばいいか?数値で判断するより、そのときの『のどの渇き』やコンディションによって判断するということです。それでも、目安は必要だと考え、一応数値化して給水量の目安にしています」とのこと。
また、ゴール後の注意点として「ゴール後も、より有効な水分補給として経口補水液が良いですが、レースでダメージを受けた筋肉を修復するために、できるだけ早いタイミング(できれば30分以内)にアミノ酸(BCAAを含んだもの)を摂ると筋肉痛が少なくて済みます。また、糖質、乳タンパク質(ヨーグルト、バナナと牛乳など)は、筋肉量や血液量を増やすといわれていますからお勧めします」と話します。
●マラソンレースの楽しみ方、参加する際の心得
「まったく走っていない人は、いきなり走らずにウォーキングから」中村先生は続けます。「週に3回30ー40分程度の早歩きからはじめて、1時間くらいまで増やしていきましょう。もちろん、いきなりフルマラソンの大会にエントリーするのは避けて、5ー10kmの部に出て、次にハーフ。ここまではだいたい楽しくやれます(笑)。そして、ハーフで自信がついたらフルに挑戦して欲しい。フルを完走するためには、1時間程度のランニングを週に3回、数ヶ月のトレーニング期間は必要だと思います。楽しみ方は人それぞれでしょうが、レースウエアやランニング仲間との交流、レース開催地近くの名所を巡ったり、地元の名産品を味わったりするのも楽しみとなりますよ。もちろん、シリアスに自己の記録向上を楽しまれるのもよいでしょう」
徳本選手は「秋の楽しみかたとしては景色のいいレースを選んで走るというのもいいですね。東京マラソンのように、いつもは走れない公道のような特別な場所を走るという楽しみを上げる方々もいます。中村先生がいわれるように、レースに参加すると、いろんな人と知り合えますし、知り合った方から走り方の指導を受けたりすることがありますから、自分がレース参加で進歩していくことを楽しめますよ。」と話します。
また、脱水への対策については「重要なことは何かが起きてからではなく、起きる前に対処して欲しい。つまり予防を大切に考えて欲しいということです。今日お話ししているようなことを知識として覚え、事前に対処しておけば、もっと楽しいランニングライフが送れると思います。もちろん完走や、よりよい記録にも繋がります」とアドバイスしています。
中村先生からも「マラソンは健康にいいことは間違いないですがカラダへの悪影響もあることを理解し、それに対して準備をして臨んで欲しい。ぜひ、個性豊かな各地のレースに参加し、ランナー同士のコミュニケーションを持って、大会を楽しんでください。レースに参加するほど、人生が面白く活発になると思います」とメッセージをいただきました。これからフルマラソンに挑戦しようと考えている方も、タイムを縮めたいという方も、脱水などのリスクを理解し、事前の対処を心がけることが重要です。
教えて「かくれ脱水」委員会のウェブサイト「かくれ脱水 JOURNAL」にて公開しています。
http://www.kakuredassui.jp/column15