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ベンゼン環のエステルを触媒の力で異性化する

世界初・エステルダンス反応の開発 独自の金属触媒で実現

本発表の詳細は早稲田大学WEBサイトをご覧ください。

発表のポイント
●独自の金属触媒により 世界初のエステルダンス反応に成功
●医薬品や機能性分子を含む様々な芳香族エステルの新奇合成を実現
●クロスカップリング反応と組み合せると様々な置換芳香族化合物を合成可能

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202007091863-O2-s052P3B4

 早稲田大学理工学術院の山口潤一郎(やまぐちじゅんいちろう)教授らの研究グループは、独自で開発した脱一酸化炭素金属触媒を用いて、芳香族エステル(※1)のエステル部位を芳香環上で異性化させる「エステルダンス反応」の開発に世界で初めて成功しました。
 芳香族化合物は芳香環上に2つ以上の置換基をもつ場合、構造異性体(※2)が存在します。それぞれの構造異性体は物性も用途も異なるため、それらを作り分けることが必要となります。芳香族化合物の異性化反応が工業的手法として知られていますが、非常に過酷な条件が必要であり、官能基(※3)を有する芳香族化合物には適用不可能でした。
 今回、研究チームはエステル部位を有する芳香族化合物(芳香族エステル)の異性化反応の開発を試みました。その結果独自のパラジウム触媒を用いることで、触媒的に芳香族エステルのエステルを異性化させる、「エステルダンス反応」の開発に世界で初めて成功しました。医薬品や機能性分子を含む30種類以上の芳香族エステルでエステルダンス反応が効率よく進行します。本反応を用いることで、従来法では合成が困難であった高価な芳香族エステルも簡便に合成することも可能です。エステルは様々な化合物に誘導できる万能官能基であり、例えばクロスカップリング反応(脱エステル型カップリング反応)と組み合わせると様々な芳香族化合物の新たな合成手法となります。
 本研究成果は、アメリカ科学振興協会誌『Science Advances』に2020年7月8日(米国東部標準時:夏時間EDT)に掲載されました。

論文情報
掲載雑誌:Science Advances(サイエンス・アドバンシス)
論文名:Ester Dance Reaction on the Aromatic Ring(芳香環上のエステルダンス反応)
著者:Kaoru Matsushita, Ryosuke Takise, Kei Muto, and Junichiro Yamaguchi(松下薫、瀧瀬瞭介、武藤慶、山口潤一郎)
論文公開日:2020年7月8日 (米国東部標準時:夏時間EDT)
DOI: 10.1126/sciadv.aba7614
掲載URL:https://doi.org/10.1126/sciadv.aba7614

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