「フッ素樹脂にも強固に接着可能な粘着テープ」を開発
[22/05/31]
提供元:共同通信PRワイヤー
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【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202205311929-O1-UB48Cv0U】
2022年5月31日
各 位
積水化学工業株式会社
「フッ素樹脂にも強固に接着可能な粘着テープ」を開発
積水化学工業株式会社(代表取締役社長:加藤敬太、以下「当社」)の高機能プラスチックスカンパニー(プレジデント:清水郁輔)は、バイオミメティクスを活用した独自の接着化合物の設計と合成に成功し、一般的に接着し難いといわれるフッ素樹脂に接着可能な粘着テープを開発しました。フッ素樹脂に限らず、オレフィンなどの難接着材料にも幅広く接着できるという特性を活かし、さまざまな用途展開を加速し社会に貢献します。
1.開発の背景
近年、さまざまな分野においてフッ素樹脂の利用が増加しています。例えば、通信インフラの分野では、特に高周波帯域を利用した5Gや6Gにおいて、伝送情報の高速かつ大容量化が図れる一方で、電気信号の伝送損失が大きいという問題があり、低伝送損失材料としてフッ素樹脂やフッ素変性ポリイミド樹脂などの基板材料開発が盛んに行われています。しかしながら、フッ素系材料は表面エネルギーが低く、水も油も弾くという性質から、他の材料との接合が難しいという問題がありました。
当社はこの問題を解決すべく、ムール貝の特殊な分泌物が幅広い材料に接着するという現象1)に着想を得て、フッ素樹脂やポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂に強く接着できる粘着テープの開発を進めてきました。
2.開発品の概要
当社は、ムール貝の分泌物であるポリフェノール成分を分子構造中に組み込んだ独自の化合物が、フッ素に粘着可能であることを見出しました。この技術を粘着剤に活用しテープ化することで、例えばフッ素処理したフライパンにも接着することが可能になりました(図1)。
また、従来はフッ素系樹脂表面の接着性を上げるため、プライマーと呼ばれる下塗り材を塗布して、粘着テープを貼合していました。しかしながら、各々の相性で接着が不十分になることや作業工程負荷が大きいなどのデメリットがありました。プライマーレスを可能とした当開発粘着テープをご使用いただくことで、製造プロセス(プライマー塗布、乾燥工程など)を削減し、さらに安定した接着性の実現が可能です。
高周波回路用の基板材料や、高機能化が進むスマートフォン内部での被覆部品やフィルターなどの接着をはじめ、フッ素樹脂を用いたパッキンなどが用いられている産業機器やメディカル用途など、フッ素系材料周辺の接着シートや粘着テープでの採用が期待されます。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202205311929-O2-r73KDsK8】
3.接着性の検証結果
50μm厚みの当該開発粘着テープと当社アクリル系粘着テープを用いて、各種被着体の180°剥離粘着力を測定しました。開発粘着テープは各種被着体に対して良好な接着性を示し、PTFE(フッ素樹脂)やポリオレフィン樹脂にも強固に接着することを確認しました(図2)。特にフッ素樹脂に対しては、一般のアクリル系粘着テープよりも約10倍の粘着力を発現し、接着性を大幅に改善することに成功しました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202205311929-O3-gJx8Qh24】
4.今後の展開
今後、サンプルの提供を通じて、2023年度の製品上市に向けた市場開拓を進めていきます。この粘接着技術を活かして、粘着テープに限らず接着剤やバインダー樹脂の開発など、さまざまな用途への展開を目指し社会課題解決に貢献してまいります。
5.参考文献
1) H. G. Silverman, F. F. Roberto, “Understanding Marine Mussel Adhesion,” Marine Biotechnology, 9, 661-681 (2007)
ご参考)エレクトロニクス分野総合サイト:https://www.sekisui.co.jp/electronics/ 【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202205311929-O4-It0X5JlE】
2022年5月31日
各 位
積水化学工業株式会社
「フッ素樹脂にも強固に接着可能な粘着テープ」を開発
積水化学工業株式会社(代表取締役社長:加藤敬太、以下「当社」)の高機能プラスチックスカンパニー(プレジデント:清水郁輔)は、バイオミメティクスを活用した独自の接着化合物の設計と合成に成功し、一般的に接着し難いといわれるフッ素樹脂に接着可能な粘着テープを開発しました。フッ素樹脂に限らず、オレフィンなどの難接着材料にも幅広く接着できるという特性を活かし、さまざまな用途展開を加速し社会に貢献します。
1.開発の背景
近年、さまざまな分野においてフッ素樹脂の利用が増加しています。例えば、通信インフラの分野では、特に高周波帯域を利用した5Gや6Gにおいて、伝送情報の高速かつ大容量化が図れる一方で、電気信号の伝送損失が大きいという問題があり、低伝送損失材料としてフッ素樹脂やフッ素変性ポリイミド樹脂などの基板材料開発が盛んに行われています。しかしながら、フッ素系材料は表面エネルギーが低く、水も油も弾くという性質から、他の材料との接合が難しいという問題がありました。
当社はこの問題を解決すべく、ムール貝の特殊な分泌物が幅広い材料に接着するという現象1)に着想を得て、フッ素樹脂やポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂に強く接着できる粘着テープの開発を進めてきました。
2.開発品の概要
当社は、ムール貝の分泌物であるポリフェノール成分を分子構造中に組み込んだ独自の化合物が、フッ素に粘着可能であることを見出しました。この技術を粘着剤に活用しテープ化することで、例えばフッ素処理したフライパンにも接着することが可能になりました(図1)。
また、従来はフッ素系樹脂表面の接着性を上げるため、プライマーと呼ばれる下塗り材を塗布して、粘着テープを貼合していました。しかしながら、各々の相性で接着が不十分になることや作業工程負荷が大きいなどのデメリットがありました。プライマーレスを可能とした当開発粘着テープをご使用いただくことで、製造プロセス(プライマー塗布、乾燥工程など)を削減し、さらに安定した接着性の実現が可能です。
高周波回路用の基板材料や、高機能化が進むスマートフォン内部での被覆部品やフィルターなどの接着をはじめ、フッ素樹脂を用いたパッキンなどが用いられている産業機器やメディカル用途など、フッ素系材料周辺の接着シートや粘着テープでの採用が期待されます。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202205311929-O2-r73KDsK8】
3.接着性の検証結果
50μm厚みの当該開発粘着テープと当社アクリル系粘着テープを用いて、各種被着体の180°剥離粘着力を測定しました。開発粘着テープは各種被着体に対して良好な接着性を示し、PTFE(フッ素樹脂)やポリオレフィン樹脂にも強固に接着することを確認しました(図2)。特にフッ素樹脂に対しては、一般のアクリル系粘着テープよりも約10倍の粘着力を発現し、接着性を大幅に改善することに成功しました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202205311929-O3-gJx8Qh24】
4.今後の展開
今後、サンプルの提供を通じて、2023年度の製品上市に向けた市場開拓を進めていきます。この粘接着技術を活かして、粘着テープに限らず接着剤やバインダー樹脂の開発など、さまざまな用途への展開を目指し社会課題解決に貢献してまいります。
5.参考文献
1) H. G. Silverman, F. F. Roberto, “Understanding Marine Mussel Adhesion,” Marine Biotechnology, 9, 661-681 (2007)
ご参考)エレクトロニクス分野総合サイト:https://www.sekisui.co.jp/electronics/ 【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202205311929-O4-It0X5JlE】