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コスモ・バイオ Research Memo(3):ライフサイエンスに関する研究用試薬・機器および臨床検査薬を販売

注目トピックス 日本株
■事業内容と特徴・強み

世界のライフサイエンスの進歩・発展に寄与すべく、世界の大学・公的研究機関・検査機関・企業・病院などの研究者や検査室向けに、ライフサイエンスに関する研究用試薬・機器及び臨床検査薬を輸出入販売している。研究者と仕入先を結ぶバイオ専門商社である。

仕入先は全世界に約630社のグローバルネットワークを構築している。地域別の構成比(件数ベース)は日本が約3分の1、米国が約3分の1、欧州・その他が約3分の1である。

2015年1月には、BIO FOREST(株)(現 ベセル(株))(佐賀県)とコスモ・バイオ<3386>の三次元細胞培養容器について独占販売契約を締結した。また遺伝子改変マウスを受託作製している米インジニアス・ターゲティング・ラボラトリー社と、同社が提供する受託サービスについて日本国内における独占販売代理店契約を締結した。

販売面では、国内で全国をカバーする約200拠点、海外で約30拠点の販売代理店網を構築している。販売代理店は地域密着で大学や病院などに医薬品を販売する薬問屋が中心である。

初代培養細胞(プライマリーセル)の研究開発・製造・販売及び細胞を用いた受託解析を行う(株)プライマリーセルを2006年12月に連結子会社化し、さらに2013年7月に吸収合併(現プライマリーセル事業部)してグループ内にメーカー機能も持っている。

また連結子会社のビーエム機器(株)はライフサイエンス研究支援の消耗器材・機器類の輸入販売を行っている。非連結子会社のCosmo Bio USA, Inc.は北米中心に仕入販売、新規商品・仕入先の探索、販売促進を行っている。なお2015年9月には、組織培養用培地のパイオニアであるコージンバイオ(株)の第三者割当増資を引き受けて出資した。出資比率は2.6%である。

主要取扱品目はタンパク質研究用試薬(モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体など)、遺伝子研究用試薬(制限酵素、核酸、遺伝子検出用試薬など)、組織培養研究用試薬(培地、培養システム・器具など)、その他バイオ研究用試薬(ペプチド、ウィルス、細菌など)、バイオ研究用機器(細胞・遺伝子操作機器、分離・精製機器、培養機器など)、臨床検査薬(血液・血清試薬、細菌検査試薬、病理・組織検査試薬など)と幅広い。

2013年7月に吸収合併した(株)プライマリーセルのメーカー機能(現プライマリーセル事業部)を持ち、自社ブランド製品を含めて業界最大級の約1,200万品を取り扱っている。ライフサイエンス研究は非常に広範囲であり、様々な分野で研究が行われている。さらに研究者一人ひとりが、それぞれ異なったテーマで研究を行っている。したがって多様なニーズに応えるためには多種多様な試薬・技術情報・サービスが必要となる。圧倒的な品ぞろえで、抗体分野を中心に多種多様な商品・技術情報・サービスをワンストップで提供できることが強みだ。

2016年3月には自社製品の「涙液ムチン測定キット」の販売を開始した。ムチンは糖タンパク質の一種で涙、唾液、胃液、腸液などの粘液に多く含まれており、角膜、鼻・のどの粘膜をウイルスや細菌から保護するなど、バリア機能として働くことが知られている。特に涙液には角膜を保護する役割として膜型ムチンと分泌型ムチンが存在しており、これらのムチンの減少がドライアイの発症に繋がると考えられている。ムチン量の測定にあたって従来は高感度・再現性・簡便性に優れた製品がなかったため、当社は簡単な操作で高感度にムチンを測定でき、且つ実験時間を短縮した「涙液ムチン測定キット」を開発した。国内だけでなく世界に向けて販売する。

また2016年3月には自社製品のがん研究用抗体「抗LAT1-CD98抗体」の販売を開始した。がん細胞の表面に高発現しているLAT1-CD98複合体を特異的に認識するモノクローナル抗体で、これまで困難だったLAT1-CD98複合体を発現しているがん細胞の単離・濃縮を容易に行うことができる。LAT1(L型アミノ酸トランスポーター)は、がん細胞に対する分子標的薬(がん細胞など特定の疾患に関連するタンパク質や遺伝子を標的とした治療薬)のターゲットの一つとして注目されており、当社の「抗LAT1-CD98抗体」は新たながん治療薬開発のための有力な研究ツールとなることが期待される。こちらも、がん幹細胞研究用抗体「抗CD44v抗体」(2013年販売開始)とあわせて、国内だけでなく世界に向けて販売する。

在庫管理については売れ筋商品を中心におおむね1万点程度を在庫として持ち、その他の出荷頻度の小さい商品は受注状況に応じて仕入先から取り寄せている。また取扱品数が2015年12月期に1,200万品を突破しており、抗体百科カタログをWEB版で復活するなど、紙媒体の商品カタログからWebカタログや技術情報ハンドブックへのシフトを進め、管理コストやカタログ発行費用の抑制を図っている。さらに動画プロモーションの導入や、販売代理店向け専用Webサイト上での商品紹介の配信も開始して営業強化につなげている。

商品の中には薬事法、毒物及び劇物取締法など、関連法規や行政指導に該当するものが多く含まれている。また海外からの輸入品の場合には、関連法規や取扱基準・規制が日本と異なっていることが少なくない。

このため商品の仕入〜販売に関しては、国内の関連法規・行政指導による取扱基準・規制に精通して対応することが必要になる。こうした対応力においても競合優位性を持っている。

エンド・ユーザーは大学・公的研究機関及び企業における研究者が大きな比重を占めている。このため収益は、大学・公的研究機関における公的研究費、企業の収益・研究開発費の支出動向の影響を受けやすい。

また商品の大半が外貨で決済される輸入品のため為替変動の影響を受けやすい。為替変動に対するヘッジ策としては、社内規程に基づいて実需の一定範囲内で為替予約を行っている。

大学・公的研究機関における公的研究費、企業の収益・研究開発費の支出動向の影響を受けるため、収益は国の年度末及び多くの企業の決算期末に当たる第1四半期(1〜3月)の構成比が高く、新年度に当たる第2四半期(4月−6月)の構成比が低くなる収益構造である。

過去3期(2013年12月期−2015年12月期)平均で見ると、第1四半期(1月−3月)の構成比は売上高が30.6%、営業利益が108.5%だった。

なお科学研究費補助金(文部科学省)に関しては、第4期基本計画(2011年度−2015年度)から、一部種目について年度繰越や複数年予算が認められるようになったため、年度末に予算消化が集中する傾向はやや薄れつつあるようだ。したがって当社の収益も今後、第1四半期に集中する傾向が緩和される可能性もある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)



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