安田倉庫 Research Memo(6):「長期ビジョン2030」達成に向け、様々なプロジェクトを進行
[21/06/28]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
■長期ビジョン
3. 「長期ビジョン2030」の進捗
「長期ビジョン2030」達成に向けて安田倉庫<9324>は、中期経営計画「YASDA Next 100」の基本戦略に基づいた様々なプロジェクトを進行している。
(1) 物流倉庫の増強
同社はメディカル物流サービスのキャパシティ向上を進めている。2020年6月、東京都江東区東雲にメディカル物流サービスの新拠点として、敷地面積3,286坪、地上4階建て、延床面積約6,682坪の「東雲営業所(東京メディカルロジスティクスセンター)」を開設した。りんかい線東雲駅から徒歩5分で、首都高速道路湾岸線有明ICの至近にあり、東京港や羽田空港へのアクセスに優れる好立地に加え、メディカル物流サービスに定評のある同社の高付加価値サービスを受けられることから、非常に強い引き合いがあったようだ。さらに2021年1月には、同拠点からほど近い東京都江東区辰巳に、敷地面積約1,600坪、地上7階建て、延床面積約5,400坪の「東雲営業所 辰巳倉庫(東京メディカルロジスティクスセンターII)」を開設した。これらの2施設を一体的に運営することで、メディカル物流サービスの成長に弾みがかかることが期待される。
メディカル物流以外でも既存物流施設の更新を通じて倉庫の増強を進めている。2020年10月には、GLP大阪内一部区画に延床面積約2,612坪の「大阪営業所 南港倉庫(新設)」を開設し、住宅建築資材や輸入家具などを扱っている。また、同年11月には、横浜港国際流通センター内一部区画にある「大黒流通センター」を増床した。
(2) メディカルサービスの充実
同社はメディカル物流サービスの拡充・高度化も進めている。具体的には、物流事業者として初めて医療機器修理業許可(修理区分:特管第一区分から特管第八区分まで)を取得し、OKIクロステック(株)と業務提携して医療機器の修理業務に参入した。医療機器キッティング業務や医療施設などから回収した製品を修理する機能が加わることで、倉庫・物流機能に加えて医療機器の検査・点検・検品・薬事ラベル添付業務、洗浄・廃棄、修理、コールセンター業務、オンライン遠隔監視サービス、AI予兆診断による故障予測適時保守など、高度なサービスをトータルに提供できるようになる。このほかにも、九州営業所で医薬品製造業を取得、輸入医薬品原料など出荷判定前の貨物の保管サービスを開始しており、サービスの高度化に合わせてGMP省令に適合した組織体制の構築や薬剤師の採用を実施している。
(3) 本社移転と社債発行
同社は、2020年12月に本社を移転した。移転先はJR田町駅至近オフィスビルのため、社員のみならず取引先にとっても利便性が格段に向上する。また、関係会社3社(ヤスダワークス、芙蓉エアカーゴ、安田エステートサービス)も含め本社機能がワンフロアに集約されることから、グループ経営の効率化が大きく進むことが期待される。また、長期発行体格付((株)日本格付研究所)がBBB+からA−へと向上し、格付の見通しがポジティブから安定的へと変化したことを背景に同社は、成長投資の資金的な担保として、2020年9月に第1回無担保社債(社債間限定同順位特約付:社債総額100億円)を発行した。本社移転及び社債発行はいずれも、収益面及び資金面において、中期経営計画達成に向けての基盤作りの一環と言うことができる。
(4) DXの推進
同社は、DX推進の取り組みを加速することで物流業界の様々な課題の解決を目指している。2021年2月には、同社の物流事業に関するDX推進を主業務とする「DX事業推進室」を新設した。最先端テクノロジーと高度な情報システムの融合により、高付加価値のロジスティクス・サービスの提供を目指す。また、位置特定特許技術を持つRFルーカス(株)への出資も発表している。電子(RFID)タグ読取時の位置情報特定において特許技術を持つRFルーカスへの出資により、ドライバーをはじめとする人手不足やEC市場拡大による荷量急増への対応など、物流業界の諸課題の解決につながると期待されている。
(5) 物流事業の取引拡大
長期ビジョンに基づいたプロジェクト進行により、物流事業の取引拡大や新サービスの提供といった成果が現れている。取引の拡大としては、医療機器業務(守屋町)、医薬品原薬業務(九州)、キッティング作業会社のセンター誘致(大阪、ITKU)、メディカル関連業務3社(東雲)といった新規取引が開始されている。また、メディカル関連業務2社(東雲)、医療機器業務(守屋町)、住宅建築資材業務(大阪/南港)、輸入家具業務(大阪/南港)、大型移転案件3件など、既存取引も拡大している。これに加え、ITキッティングでLCMサービスやGIGAスクール対応※、大型かつ重量物である鋼材物流など、新たなサービスも始まっている。
※キッティング業務の1つで、児童生徒へ1人1台のPCまたはタブレットを配布するための補助金を国が援助するプロジェクト。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<YM>
3. 「長期ビジョン2030」の進捗
「長期ビジョン2030」達成に向けて安田倉庫<9324>は、中期経営計画「YASDA Next 100」の基本戦略に基づいた様々なプロジェクトを進行している。
(1) 物流倉庫の増強
同社はメディカル物流サービスのキャパシティ向上を進めている。2020年6月、東京都江東区東雲にメディカル物流サービスの新拠点として、敷地面積3,286坪、地上4階建て、延床面積約6,682坪の「東雲営業所(東京メディカルロジスティクスセンター)」を開設した。りんかい線東雲駅から徒歩5分で、首都高速道路湾岸線有明ICの至近にあり、東京港や羽田空港へのアクセスに優れる好立地に加え、メディカル物流サービスに定評のある同社の高付加価値サービスを受けられることから、非常に強い引き合いがあったようだ。さらに2021年1月には、同拠点からほど近い東京都江東区辰巳に、敷地面積約1,600坪、地上7階建て、延床面積約5,400坪の「東雲営業所 辰巳倉庫(東京メディカルロジスティクスセンターII)」を開設した。これらの2施設を一体的に運営することで、メディカル物流サービスの成長に弾みがかかることが期待される。
メディカル物流以外でも既存物流施設の更新を通じて倉庫の増強を進めている。2020年10月には、GLP大阪内一部区画に延床面積約2,612坪の「大阪営業所 南港倉庫(新設)」を開設し、住宅建築資材や輸入家具などを扱っている。また、同年11月には、横浜港国際流通センター内一部区画にある「大黒流通センター」を増床した。
(2) メディカルサービスの充実
同社はメディカル物流サービスの拡充・高度化も進めている。具体的には、物流事業者として初めて医療機器修理業許可(修理区分:特管第一区分から特管第八区分まで)を取得し、OKIクロステック(株)と業務提携して医療機器の修理業務に参入した。医療機器キッティング業務や医療施設などから回収した製品を修理する機能が加わることで、倉庫・物流機能に加えて医療機器の検査・点検・検品・薬事ラベル添付業務、洗浄・廃棄、修理、コールセンター業務、オンライン遠隔監視サービス、AI予兆診断による故障予測適時保守など、高度なサービスをトータルに提供できるようになる。このほかにも、九州営業所で医薬品製造業を取得、輸入医薬品原料など出荷判定前の貨物の保管サービスを開始しており、サービスの高度化に合わせてGMP省令に適合した組織体制の構築や薬剤師の採用を実施している。
(3) 本社移転と社債発行
同社は、2020年12月に本社を移転した。移転先はJR田町駅至近オフィスビルのため、社員のみならず取引先にとっても利便性が格段に向上する。また、関係会社3社(ヤスダワークス、芙蓉エアカーゴ、安田エステートサービス)も含め本社機能がワンフロアに集約されることから、グループ経営の効率化が大きく進むことが期待される。また、長期発行体格付((株)日本格付研究所)がBBB+からA−へと向上し、格付の見通しがポジティブから安定的へと変化したことを背景に同社は、成長投資の資金的な担保として、2020年9月に第1回無担保社債(社債間限定同順位特約付:社債総額100億円)を発行した。本社移転及び社債発行はいずれも、収益面及び資金面において、中期経営計画達成に向けての基盤作りの一環と言うことができる。
(4) DXの推進
同社は、DX推進の取り組みを加速することで物流業界の様々な課題の解決を目指している。2021年2月には、同社の物流事業に関するDX推進を主業務とする「DX事業推進室」を新設した。最先端テクノロジーと高度な情報システムの融合により、高付加価値のロジスティクス・サービスの提供を目指す。また、位置特定特許技術を持つRFルーカス(株)への出資も発表している。電子(RFID)タグ読取時の位置情報特定において特許技術を持つRFルーカスへの出資により、ドライバーをはじめとする人手不足やEC市場拡大による荷量急増への対応など、物流業界の諸課題の解決につながると期待されている。
(5) 物流事業の取引拡大
長期ビジョンに基づいたプロジェクト進行により、物流事業の取引拡大や新サービスの提供といった成果が現れている。取引の拡大としては、医療機器業務(守屋町)、医薬品原薬業務(九州)、キッティング作業会社のセンター誘致(大阪、ITKU)、メディカル関連業務3社(東雲)といった新規取引が開始されている。また、メディカル関連業務2社(東雲)、医療機器業務(守屋町)、住宅建築資材業務(大阪/南港)、輸入家具業務(大阪/南港)、大型移転案件3件など、既存取引も拡大している。これに加え、ITキッティングでLCMサービスやGIGAスクール対応※、大型かつ重量物である鋼材物流など、新たなサービスも始まっている。
※キッティング業務の1つで、児童生徒へ1人1台のPCまたはタブレットを配布するための補助金を国が援助するプロジェクト。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<YM>