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関西大学システム理工学部・古城直道研究室が「硬さ分布を3次元解析する新システム」を開発

〜精密加工と精密位置決め技術を組み合わせ、素材内部の微小硬さを測定〜

2020/03/10
学校法人関西大学

 関西大学システム理工学部の古城直道准教授、廣岡大祐准教授および国立研究開発法人 理化学研究所 光量子工学研究センターの横田秀夫チームリーダーらの研究グループは、内閣府 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)のプロジェクト「統合型材料開発システムによるマテリアル革命」(プログラムディレクター:三島良直〔東京工業大学〕)において、工業材料内部の硬さ分布を3次元解析する新システムの開発に成功しました。<特許出願済:〔出願日〕2019年11月29日 〔出願番号〕特願2019-216087>

【本件のポイント】
・光学顕微鏡による断面ミクロ組織に加え、微小硬さ分布を3次元化
・コンピュータシミュレーションで、正確な材料内部の応力解析が可能に
・構造物の硬さや強度の分布を“見える化”することで、鉄鋼産業における製品の安全性の向上等に寄与

 
 古城准教授らの研究グループが開発した「硬さ計測型3次元内部構造顕微鏡システム」は、試料切断と光学顕微鏡観察を繰り返す従来の逐次断面切削観察システムに「微小硬さ計測部を搭載」したことによって、素材内部の微小硬さ分布を3次元的に可視化することができるという特長を有しています。

 工業部品の強度や疲労破壊特性は、素材内部にある析出物や混合組織の組成、形状、分布などによって 決まります。これらを観察する方法としては、試験片を切断し、切断面を鏡のように仕上げてエッチングし、光学顕微鏡観察する断面観察法が活用されています。この試験片の切断と顕微鏡観察を繰り返す逐次断面切削観察法(シリアルセクショニング法)は、表面を少しずつ削り落としながら観察を進めていくので、取得した複数の断面画像をコンピュータで処理すると、内部構造を3次元的に観察することが可能となります。しかし、顕微鏡観察では表面の輝度、発色の違いだけの情報に限られるため、素材内部の様子は分かっても、それぞれの構造物がどのような硬さや強度を持っているかを同定することはできませんでした。

 これまでに同研究グループは、鏡面加工と撮像が高精度(1?m以下)に制御された、3次元の画像処理 までを完全に自動化した観察システムを開発してきました。今回、これらの特長を持つ観察システムに、 分解能1nm、感度0.1mN(≒10mgf)という高分解能なステージおよび微小力センサからなる硬さ計測部を搭載し、新たに安定的な制御方式を確立しました。その結果、鏡面加工・観察・硬さ計測を多断面にわたって実施することが可能となり、「シリアルセクショニング法による硬さ計測型3次元内部構造顕微鏡システム」を開発することに成功しました。これにより、鉄鋼産業における素材および工業部品の安全性のさらなる向上などが期待されます。なお、本システムの開発には、高島産業株式会社(長野県茅野市)が協力しました。

 本研究成果は、2020年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集に収録されます。

▼本件の詳細▼
関西大学プレスリリース
http://www.kansai-u.ac.jp/global/guide/pressrelease/2019/No80.pdf

【本件の取材は下記担当者まで直接お問い合わせ下さい】
システム理工学部准教授 古城 直道(ふるしろ なおみち)
TEL:06-6368-0835 E-mail:furusiro@kansai-u.ac.jp

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202003107853-O2-gqL3Biwh
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202003107853-O1-FqgxXvZC

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