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電通イージス・ネットワーク社、「デジタル社会指標2020」を発表

世界22カ国・地域を対象に、コロナ禍におけるデジタル化進展とそれに対する意識調査を実施

2020年7月8日
株式会社 電通グループ
代表取締役社長執行役員 山本 敏博
(東証第1部 証券コード:4324)

 
電通イージス・ネットワーク社が世界22カ国・地域を対象に コロナ禍におけるデジタル化進展とそれに対する意識調査を実施し、 「デジタル社会指標2020」として発表



 株式会社電通グループ(本社:東京都港区、代表取締役社長執行役員:山本 敏博、資本金:746億981万円)の連結子会社で海外事業を統括する「電通イージス・ネットワーク社(Dentsu Aegis Network Ltd.)、ロンドン市、以下DAN」は、この度、世界22カ国・地域の32,000人以上を対象に、コロナ禍におけるデジタル化進展とそれに対する意識調査を実施し、「デジタル社会指標 2020」として発表しました。なお、DANによる「デジタル社会指標」のための調査は、2018年の開始以来、今回で3回目となります。本調査から得られた主なポイントは次のとおりです。
      
<主なポイント>
・新型コロナウイルス感染症によって、社会とデジタルテクノロジーの建設的な関係性が発展・進化。特に、新興国ではデジタルテクノロジーの向上が顕著で、ロックダウン中の健康管理に有効活用。
・多くの人々が、企業は社会の幸福度向上に寄与する製品・サービスを開発すべきであり、企業のテクノロジー活用がアフターコロナの社会全体に恩恵をもたらすと考えている。
・一方で、全体の約半数が、テクノロジーの変化のスピードに取り残されるのではないかという懸念を持ち、長期的にはテクノロジーが社会の不平等を助長すると感じている。
 
 本調査は、新型コロナウイルス感染症が拡大していた2020年3〜4月にかけて実施されました(WHOによる「パンデミック宣言」発表は3月11日)。主な目的は、テクノロジーと社会の関係を明らかにすることにあり、具体的にはデジタルテクノロジーの活用実態、その幸福度への波及効果、家族や友人とのつながりへの影響等について聞いています。
 調査の結果、パンデミック宣言下において、社会は「Techlove(テクラブ)」と呼ばれる「デジタルテクノロジーに好意的」なフェーズへと移行し、前向きにテクノロジーと相互作用していることが分かりました。例えば、ロックダウン中におけるデジタルテクノロジーは、家族や友人、周囲の人々とのコミュニケーションを可能にし、さらに潜在的なストレスを軽減する役割を担っていたと、全体の約3割が回答しています。(図1参照)
 また、新興国ではデジタルソリューションやオンライン化の進展により、職業や教育面においてもデジタルテクノロジーの恩恵を受けていることが分かりました。南アフリカ(46%)、メキシコ(44%)、ブラジル(43%)などでは、半数近くの人が自宅学習の増加、教育用アプリやオンライン授業により知識が向上したと回答しています。一方、先進国における恩恵の度合いは新興国に比べて低い傾向にあり、米国(24%)、英国(18%)、日本(12%)となっています。

図1:デジタルテクノロジーは、どのような点であなたの幸福感に影響を与えますか?
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202007071776-O1-lFMoNABq

 性別による比較では、女性(32%)は男性(27%)よりもデジタルテクノロジーにより、家族や友人、周囲の人々とのつながりをより強く感じる傾向にあります。特にポーランド(女性38%、男性27%)やフィンランド(女性37%、男性20%)など東ヨーロッパ/スカンジナビア地域ではこの傾向が強く見られます。
 南アフリカでは回答者の29%が精神的・身体的な健康管理のためにデジタルテクノロジーを活用していると答えており、その比率は他の国に比べ高くなっています。ポーランド、シンガポール、ブラジルがこれに続く約22%、そして米国は17%となっています。
 パンデミックの最中、多くの人々がデジタルテクノロジーとの建設的な関わりが社会的な課題の解決につながることを身をもって経験し、テクノロジーの役割をポジティブに捉えるようになっています。とりわけ、健康管理面におけるテクノロジー活用が人々の意識の変化に貢献していることが調査結果から窺い知ることができます。2018年に42%であったポジティブの割合は、2019年には45%、2020年には54%へと伸長しています。(図2参照)

図2:世界の喫緊の課題解決におけるデジタルテクノロジーの可能性をポジティブに捉える人の割合
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202007071776-O2-L60C4B0N


■企業への新たな期待
このポジティブな見方は企業への期待としても顕著に表れています。パンデミックにより、企業は生活者との相互作用を再考せざるを得なくなりました。調査結果を分析すると、人々は、精神や身体をサポートするような新サービスの提供については、単に「欲しい」ということだけでなく、「今後5〜10年を見据え、より良い社会影響をもたらすテクノロジーを活用したサービスに期待する」と回答しています。この傾向は特に中国(84%)や南アフリカ(82%)で強く出ていますが、米国(60%)や英国(59%)でも高い割合となっています。
 また調査からは、人々は【将来的にはすべての企業が健康や幸福度に貢献するようなブランドになることを期待】していることが読み取れます。特に新興国ではその傾向が強く、中国、ブラジル、南アフリカでは約8割の人々がその役割を果たす製品・サービスの開発を期待しています。
 
■Techlashへの警鐘
 パンデミック時においてはテクノロジーによる短期的な恩恵もありますが、調査結果からは複数の国で「Techlash(テクラッシュ)」と呼ばれる「テクノロジーに懐疑的」な人々によるテクノロジーに対する否定的な感情も一定程度存在することが明らかになりました。Techlashとは、テクノロジーとバックラッシュ(反動)を結合した造語です。
 世界22カ国の約57%の人々が「テクノロジーの変化が速すぎる」と感じています。また、約半数がデジタルテクノロジーによって貧富の差が拡大していると感じており、南アフリカと中国ではともに61%が、またフランスでも57%という結果が出ています。
 新興国ではロックダウン中にテクノロジーが役立った一方で、テクノロジーに対して否定的な見方をする人も多いことが分かりました。例えば、中国では64%がテクノロジーは健康と幸せに悪影響があるとしており、シンガポール(47%)や香港(41%)でも高い割合となっています。(図3参照)
 また、ソーシャルメディアは人のつながりの維持に役立つというポジティブな側面がある一方で、世界の約13%の人々がテクノロジーによるストレスや切り替えの難しさを感じていることも明らかになりました。英国(17%)や米国(14%)では回答者平均を超えています。

図3:テクノロジーの使用があなたの健康と幸福度に悪影響を及ぼすと思いますか?
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202007071776-O3-wsW1Vz0H

■DANの視点
 新型コロナウイルス感染症によるパンデミックは、人間の基本的なニーズに対してテクノロジーが果たす役割について、我々として改めて考えさせられる機会となりました。この期間に、企業がテクノロジーを活用して生活者を支援し、生活者との関係を活性化することで「Techlove(テクラブ)」の勢いを認識することができました。企業にとっての今後の課題は、いかにテクノロジーをより人間味のあるものへと進化させ、より生活者ニーズに寄り添うことができるか、ということになります。このことは、今後はEコマースのように生活者を支援する機動力のある分野への投資が増えていくであろうこと、そして、生活者の共感を得るためにはそうした分野への投資が必要不可欠になるであろうことを意味しています。
 回復期を展望すると、企業は製品・サービスのプッシュ型販売ではなく、人々により良い生活を送ってもらうための製品やサービスの開発に注力していく必要があります。開発、マーケティング、セールス、アフターサービス等に関係するすべての要素を統合した上で、生活者に提供するライフタイムバリュー(生涯にわたる価値)を検討していかなければなりません。有益なカスタマーエクスペリエンスの提供が、現在のパンデミック下における企業の喫緊かつ今後10年の課題であると捉えています。

■日本に関する主なポイント
・日本ではポジティブ・ネガティブいずれの質問項目においても、数値の低い結果が出ており、社会におけるテクノロジーの関わり・役割については「意識・関心が低い」ことが分かりました。
・例えば、新興国ではデジタルソリューションやオンライン化の進展により、職業や教育面においても恩恵がありましたが、上述のとおり、日本では12%に留まっています。
・デジタルテクノロジーを精神的・身体的な健康管理のために活用している度合いは、新興国では高い数値となりましたが、日本は最も低く7%となっています。
・企業への期待では、日本は48%とデンマーク45%に次いで世界で2番目に低い結果となっています。
世界22カ国の約57%の人々が「テクノロジーの変化が速すぎる」と感じていることに関しては、日本は約44%と世界平均を大きく下回っています。
・また、新興国ではテクノロジーが役立った一方、テクノロジーに対して否定的な見方をする人々が多いことも分かりましたが、日本では否定的な見方は31%と相対的には低く出ています。(図3参照)

<詳細レポート:「Digital Society Index 2020」>
DAN発行の詳細レポート(英語のみ)は、次のURLからダウンロードすることができます。
https://www.dentsuaegisnetwork.com/uk/en/reports/our_thinking__techlash_or_techlove_b5ce3a6

<調査概要>
実地調査(デジタル・ソサエティ・インデックス)は、2020年3〜4月に、22カ国・地域、32,000人を対象に実施。対象国・地域は、アジア太平洋は日本、オーストラリア、シンガポール、中国、ニュージーランド、香港、米州は米国、メキシコ、ブラジル、欧州は英国、イタリア、オーストリア、スペイン、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、ハンガリー、フランス、フィンランド、ポーランド、ロシアと、南アフリカ。調査対象者は、各国の代表値で算出(性別・年代等)し、調査はオンラインで実施。
       
                                             以 上

【本件に関する問合せ先】
株式会社電通グループ グループコーポレートコミュニケーションオフィス
TEL:03-6217-6601
E-mail:group-cc@dentsu-group.com
株式会社電通グループでは、新型コロナウイルス対策の一環として、現在リモートワークを実施しておりますので、同期間のお問合せは、Eメールにてお願いいたします。

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