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Innovation for Cool Earth Forum 第11回年次総会(ICEF2024)開催報告 13セッション開催

93の国・地域から約1,700名参加「人工知能(AI)と気候変動緩和 第2版」に関するロードマップ作成

2024年10月22日
経済産業省
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構

 経済産業省と国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構は、クリーンエネルギー中心の経済・社会、産業構造へ転換し、脱炭素と経済の成長・発展につなげるGX(グリーントランスフォーメーション)の実現に向けた「東京GXウィーク」開催の一環で、「Innovation for Cool Earth Forum 第11回年次総会(ICEF2024)」を開催しました。
CEF2024は、地球温暖化対策の鍵を握る技術革新を世界の産学官のリーダーが協議する国際会議で、全13セッション開催、93の国・地域の政府、国際機関、産業界、学界から約1,700名が参加しました。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202410228518-O3-gxXmA70V】        I【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202410228518-O4-BIXbB7x6

【開会式:田中伸男ICEF運営委員長ご挨拶】         【ネットゼロに関する特別対話】

キーノートでは、世界が様々な困難に直面しつつも、カーボンニュートラル達成へと進んでいくために必要なイノベーションに焦点を当てて、対談、講演、メッセージ上映を行いました。

・キーノート1  ヨハン・F・ロックストローム氏による講演
・キーノート2  ジャン=エリック・パケ大使、貞森 恵祐氏、ヘレ・クリストファーセン氏による講演
・キーノート3  フランチェスコ・ラ・カメラ氏によるビデオメッセージ

 
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202410228518-O5-2t6LKP91


          【キーノートセッションにおけるヨハン・ロックストローム氏】

各セッションでは、「How to Live within the Planetary Boundaries through Green Innovation(プラネタリー・バウンダリーをグリーン・イノベーションでより良く生きる)」をメインテーマとして、地球温暖化問題解決の鍵となるグリーン・イノベーションに焦点が置かれ、プラネタリー・バウンダリー(人類が生存できる安全な活動領域とその限界点の概念)とエネルギー・トランジション、二酸化炭素除去等の気候安定化技術、水素の利活用への備え、原子力エネルギーなどについて議論が行われました。
各セッションの模様はYouTubeチャンネルで配信します。
《YouTubeチャンネル》https://www.youtube.com/channel/UC7ouNL9NbvDomDTfiubi8iw

 
また「人工知能(AI)と気候変動緩和 第2版」のロードマップのドラフトを公開。ロードマップの最終版は、2024年11月にアゼルバイジャン共和国で開催されるCOP29(国連気候変動枠組条約第29回締約国会議)の場で発表されます。

 
【ステートメント】

11回目の開催となった本年のICEFのステートメントは、今世紀半ばに向けカーボンニュートラルを実現するための基盤が確立されるであろう今後10年間には、共同イノベーションとパートナーシップを通じて、多大な機会が創出され、その機会を捉えることができると私たちは考えており、また、惑星の境界線は、イノベーションの強化を求めるより強力な論拠を提供しており、機会は生まれていること強調しました。また、”プラネタリー・バウンダリーをグリーン・イノベーションでより良く生きる”というICEF2024主題の下、プラネタリー・バウンダリーとエネルギー・トランジション、気候変動分野における革新的なファイナンスとともに、気候安定化技術(二酸化炭素除去(CDR)とジオエンジニアリングテクノロジー)、水素の本格的な利活用への備え、食料・農業分野の気候変動対策、原子力エネルギーの未来、持続可能な海上輸送について議論を行いました。本リリースの最後に、全文を掲載しております。

 
【ロードマップ】
ICEFでは、産官学の視点に立って現実的かつ事実ベースの道筋を見出し、すべてのステークホルダーの活動に資することを目指して、二酸化炭素利用や、二酸化炭素の直接空気回収(DAC)、産業用途熱の脱炭素化、バイオマス炭素除去・貯蔵(BiCRS)、炭素鉱物化、低炭素アンモニア、ブルーカーボンといった、長期的な視点でネット・ゼロ・エミッションを牽引することが期待される技術に関するロードマップを2015年から作成しています。今年度の「ICEF人工知能(AI)と気候変動緩和ロードマップ 第2版」ロードマップは、ICEFでの13本目のロードマップとなります。

ICEF2024 ロードマップ:「ICEF人工知能(AI)と気候変動緩和ロードマップ 第2版」 (ドラフト版)
「人工知能(AI)と気候変動緩和ロードマップ 第2版」は、昨年に発表された2023年ロードマップのバージョン2.0であり、航空、民生部門、二酸化炭素回収、原子力、大規模言語モデル(LLM)、極端気象への対応など、昨年取り上げられなかった新しい話題を盛り込んでいます。また、電力システム、フードシステム、製造業部門、道路輸送、温室効果ガス排出モニタリング、材料イノベーションなど、昨年取り上げた内容も更新されました。各章で具体的かつ実行可能な提言を示し、気候変動への対応にAIをいかに活用できるかについて、詳細かつ包括的な提言を提供しています。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202410228518-O6-E7boIRWd

ICEF年次総会で公開されたICEF人工知能(AI)と気候変動緩和ロードマップ 第2版は、ICEF2024での議論に加え、パブリックコメントを募ります。コメントの反映および修正を経て、COP29で、正式版を発表する予定です。詳細は、ウェブサイトをご参照ください。
https://www.icef.go.jp/jp/roadmap/

 
【ICEF2024開催概要】
《会議名》 Innovation for Cool Earth Forum第11回年次総会 (ICEF2024)
《ICEFウェブページ》 https://www.icef.go.jp/jp/
《セッション数》 13
《参加者数》 93の国・地域から約1,700名
《YouTubeチャンネル》 https://www.youtube.com/channel/UC7ouNL9NbvDomDTfiubi8iw
《主催》 経済産業省、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
《共催》 外務省、文部科学省、農林水産省、環境省
《後援》 国際エネルギー機関(IEA)、BloombergNEF、国際連合工業開発機関(UNIDO)、
国際再生可能エネルギー機関(IRENA)
《日程》 10月9日(水)9:15〜18:30、10月10日(木)9:00〜18:15
《場所》 ウェスティンホテル東京(住所:東京都目黒区三田1-4-1)、オンライン

 

参考資料

【ステートメント全文(仮訳)】
気候変動と戦い、クリーン、グリーン、スマートかつ公正な移行を推進するためのイノベーションを提唱する取り組みを10年間続けてきた後、「イノベーション・フォー・クールアース・フォーラム(ICEF)」は、2024年10月9日と10日にハイブリッド形式で第11回年次総会を開催した。これは「東京GXウィーク」のイニシアティブとして、エネルギーと環境に関する幅広い問題に取り組むために、世界および日本のイノベーションの第一人者を招集したものである。「プラネタリー・バウンダリーをグリーン・イノベーションでより良く生きる」をテーマに、ICEF2024は、地政学的および社会的な複雑性を背景に、イノベーションを通じて乗り越えるべきハードルと、掴むべき機会、創出するべき機会について検討した。このイベントには、政府、国際機関、産業界、学術界から、93カ国・地域を代表する1,700人以上が参加した。ICEF2024の閉会にあたり、運営委員会は一連の議論を踏まえて以下の声明を発表する。

1. 地球が今置かれている状況

世界は、深刻化し複雑化する地球規模の危機に直面している。 地球の境界(プラネタリー・バウンダリー)という概念は、地球システム全体の安定性と回復力を維持するために重要な9つの境界を特定しており、そのうち気候変動を含む6つの境界を世界はすでに超えてしまっていると主張している。
5月の国連報告書は、世界は2030年までにSDGsのほとんどについて達成する軌道に乗っていないと結論づけている。複数の危機が、途上国による貧困撲滅と飢餓根絶の取り組みに大きな後退をもたらしている。2024年の「気候とSDGsの相乗効果に関するグローバルレポート」によると、SDGsの目標の80%が気候変動に直接関連していると言われている。気候変動対策と持続可能な開発の相乗効果を最大限に高める必要がある。パリ協定に基づく各国が自主的に決定する貢献(NDC)の2025年ラウンドは、各国がそうするための大きな機会を提供する。ICEFは、今年11月にバクーで開催されるCOP29が、より強固なNDCに向けた前進となることを期待している。
昨年9月に締結された「未来サミット」では、SDGsを実現するために、グローバル・ガバナンスの変革を最優先事項として掲げた。特に、地政学的および地経学的な複雑性の増大、指数関数的に影響力のある技術、そして競争を背景に、グローバル・ガバナンスの革新的な形態を検討する必要がある。行き詰まりを打開するには、グリーン・イノベーションを可能とする、目的に適合したガバナンス構造とプロセスを再設計する必要がある。
今年のCOP29における主要な問題は資金である。新たな集団的数値目標(NCQG)などの新たなイニシアティブやメカニズムが提案され、採択される予定である。さらに、COP29議長国は7月に新たな気候変動対策基金を提案し、特に化石燃料生産国や企業からの自主的な拠出を求めた。革新的な資金調達は、特に途上国による野心的な気候変動対策を動員するための前提条件である。
新たに台頭しつつある政治、経済、社会の現実と結びついた技術革新と社会革新をさらに進展させることができれば、私たちの前に新たな機会が生まれるだろう。このことは、再生可能エネルギーの大規模な展開とコスト削減によって例証されている。

2. 次に必要とされるステップ

このような背景のもと、ICEF2024では、地球システムの安定性と回復力、そして社会的に公正なエネルギー転換について、徹底的な議論が行われました。私たちは、私たちの惑星における安全で公正な未来のための現状を評価し、課題を特定し、すべての人々のための持続可能な未来を構築するために必要な政策とグリーン・イノベーションについて、総合的に検討した。
途上国の深刻な債務負担を認識し、ICEF2024では、国際的な資金アーキテクチャー、特に多国間開発銀行の改革を進めつつ、公的資金調達を超えた民間投資を刺激し、官民パートナーシップを強化するための革新的な資金調達方法についても議論された。年間2兆〜5.7兆ドルと特定された投資ニーズに対応するため、新興市場、グリーン・イノベーション、脱炭素化、健全な生物多様性確保に向けた資金の動員方法を探った。これらは、そのプロセスにおいて、透明性と説明責任によって担保される。
グリーン・イノベーションへの取り組みは不可欠である。第一線の専門家は、以下の5つの具体的な問題について取り扱った。
第一に、カーボンニュートラルを達成するために不可欠な二酸化炭素除去(CDR)やその他の気候安定化オプションについて、技術的および自然に基づく幅広いソリューションが議論された。CDR技術の展望、展開のための可能なソリューション、国際的な枠組みについて議論された。
第二に、専門家は、「hydrogen ready」の定義について議論した。これは、新しいガス発電所を含むインフラへの助成条件としてますます使用されるようになってきている。また、既存のインフラを低炭素水素に移行する方法についても焦点を当てた。
第三に、気候変動によって悪影響を受ける食料と農業システムに関して、サプライチェーンにおいて排出源や除去源となり得る食料と農業システム、林業、漁業部門の機会と課題が議論された。食料安全保障を確保するにはさらなる革新が必要である。食料と農業システムは、排出の主要な原因から、炭素回収・貯留(CCS)の主要な貢献へと完全に変革することができる。さらに、既存の重大な無駄を削減することで、世界の貧困と飢餓の削減にさらに貢献することができる。
第四に、原子力エネルギーの未来に関して、先進的な原子炉に焦点を当て、専門家は、事業化やさまざまな用途に向けた事業者の取り組み、および規制上の課題について検討した。
第五に、削減が難しい分野の1つである海上輸送に関して、船舶の技術や設計、持続可能な燃料、および係留時のエネルギー効率的な運用について議論された。また、重油の使用禁止による悪影響についても討議された。
昨年に世界的に大きな注目を集めたロードマップを基に、ICEF2024は「人工知能(AI)と気候変動緩和 第2版」を発表した。2024ロードマップは、前年度のロードマップの全章を包括的に更新し、6つの新しい章を追加し、各章に5〜10の具体的で達成可能な提言を盛り込んでいる。

3.結びにあたって

多様性と包括性は、ICEFの変わらぬ信念である。特に、地方や先住民族のコミュニティ出身の若者、女性イノベーターを含む、多様性を代表し体現するスピーカーの参加を常に歓迎し、称賛している。ICEFでは、多様かつ世代や地域を超えたステークホルダーの参加を促し、カーボンニュートラルで持続可能な未来に向けた技術革新と社会変革の機運をさらに高めることに、引き続き全力で取り組んでいく。
地方や先住民族のコミュニティを含む課題の最前線で変革をリードする若いイノベーターたちは、ICEF2024において「イノベーションは人から生まれる」と強調し、次世代への投資と前向きな変化の推進を継続する必要があると述べた。「私たちは、未来を形作る上でイノベーションが果たす重要な役割を認識している。そして、人類史上最高かつ最悪のこの時代に、この素??晴らしい地球を次の世代に引き継ぐために貢献できることを嬉しく思う」
『サピエンス全史』の著者であるハラリ教授は、核戦争、生態系の危機、AIによる技術破壊を、21世紀の人類が直面する三大グローバル課題として挙げている。ICEFは、今後10年間でこれらの問題に真剣に取り組むべきである。
今年、主要経済国では政治と地政学の状況が変化している。課題は依然として困難な状況だが、今世紀半ばまでにカーボンニュートラルを実現するための基盤が確立されるであろう今後10年間には、共同イノベーションとパートナーシップを通じて、多大な機会が創出され、その機会を捉えることができると予測している。また、地球の境界(プラネタリー・バウンダリー)は、危機感を増大させる一方で、イノベーションと協力の強化を求めるより強力な論拠を提供している。チャンスが生まれている。例えば、1)気候変動への耐性を高めるAI、2)エネルギーシステムの再設計、3)産業バリューチェーンの変革、4)景観に基づく食糧・農業システム、5)金融構造を含むグローバル・ガバナンスの革新、6)革新的な解決をリードする、若い世代の野心とインスピレーションの向上などである。これらは、グリーン・イノベーションの最もエキサイティングな推進要因のいくつかである。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202410228518-O7-d8jtT44N

 

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